大隻佬(マッスルモンク)

劉徳華アンディ・ラウ)、張栢芝セシリア・チョン) 杜琪峰(ジョニー・トー)・韋家輝(ワイ・ガーファイ):監督


劉徳華のムキムキと坊主頭ばかりが話題になっていたが、ストーリーは全く想像していたものと違った。なにやらとっても不思議な映画を見たというのが、まず第一の感想。そして話は深い。因果応報、という仏教的思想を問う話しなのですよ。さらに全体がホラーがかっている。変なCG。画面はグロい感じもあって、全然傾向が違うんだけど、なぜかケン・ラッセルを思い浮かべてしまったり・・・。なんといっていいか。(注意:以下、まっさらでこの映画を見たい人は読まない事をおすすめします)


ムキムキの劉徳華はJメンズよろしく、婦女子にきゃーきゃーいわれて、エロっぽく踊っていると、そこに警察の手入れが入る。いままで一番きゃーきゃーと叫んでいた女性(張栢芝)が、なんと警察官だった。警官に拘束される寸前、劉徳華は全裸(踊っていて、ビキニパンツも脱いでいた・笑)のまま逃走した。同じ時、摩訶不思議な殺人事件が起こっていた。めちゃくちゃに叩きのめされたインド人の死体。そして警察犬は床に置かれたブリキ缶に異常な反応を示す。おそるおそる蓋を開けると、中には人が入っていた。身体を小さく折り畳む術を身につけたインド人が、ブリキ缶から身体をよじらせ出現した。さらにこのインド人は怪力と人間ばなれした疾走を見せ、連行中の車から逃走した。逃走した裸の劉徳華とインド人の2人がぶつかる。劉徳華はインド人を追ってきた警官に逮捕された。張栢芝は、拘束された劉徳華は、インド人殺害とは関係ないとCIDに釈放を要求した。インド人追跡を邪魔されたと思うCIDは、警官になりたての張栢芝をCIDに配属させ、嫌がらせのように使う。
劉徳華は、彼を追ってきた張栢芝の背後に大量殺人を犯す日本兵の亡霊を見ていた。そのことが気にかかり、張栢芝の捜査に協力してやろうと思う・・・。いったいこのムキムキ男は何モノなのか、そして張栢芝の背後に見えた日本兵は何を意味するのか、インド人はなぜ犯罪を犯したのか?

 
劉徳華がムキムキで、とてつもない武術を身につけていることになっている。さらにインド人もとんでもない。そういうもの全部を不条理と否定して見たら、もうとてつもなくチープな話しってことになってしまう。まずそこで、この話に乗れるのか乗れないのかが、分かれるところだと思う。そして話が後半に行くと、だんだに様々な行為の真相が、劉徳華の過去が明らかになっていく。ここでもストーリーの核心にある考え方を否定すると、見ているのが苦痛だろう。しかし、ストーリーのすべてを受け入れてみたら、これはとっても深い話しだ。そして悲しい話しだ。すごく心にひっかかる映画なんだけど、香港人はどう見るんだろう、難しいところだ。観客の許容度を試しているようにも見える。
想像するに、劉徳華は、この話しに入れ込んだんじゃないかと思う。頭まで剃って、ムキムキスーツで苦労しても、苦労しがいがあると、考えただろうと思う。今日現在、公開2日で523万稼いでいる。最初は予備知識なく見ている人が多いと思うので、これから果たしてどうなるか? 口コミで人が増えるのか・・。


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