冬蔭功(トム・ヤム・クン)

冬蔭功(トム・ヤム・クン)トニー・ジャー 
プラッチャヤー・ピンゲーオ:監督


仏像の次は象。子供の頃から人間同様につきあって、大切にしてきた象を密売組織に盗まれたトニーの象奪回劇。(まっさらで見たい人は以下読まないように)


前回より明らかにお金はかかっている。なんせ今回はタイに留まらず、オーストラリアロケだ。それも象連れ。トニーのアクションは炸裂だけど、だけど、なんか違う。暴力には理由がないと。
前回は、最後の最後まで力で解決しようとはしないと誓っていたから、その押さえに押さえて、最後のところで堪えきれず、彼のひじが怒りの固まりとなって相手に突き刺さった。なのに今回は最初から暴力三昧。いきなりがんがん飛ばす。それじゃ、ただの暴力野郎じゃないか。RPGで敵を次から次から倒すのと、なんら変わらない。敵はどんどん強くなるし。やっぱり仏像から「仏」が無くなって、人も消えて「象」だけになったから。 


それに怪しい北京語を話す中国人にして人妖もどきが、禁断の野味レストランをシドニーで経営していたり(中国人怒った方がいいのでは・笑)、その店の裏の秘密のサウナで悪い野郎が美女と入浴中だったりして、一歩間違えばハリウッドの東洋勘違い映画になりかねない、すれすれ。前作で最後にはトニーに協力する丸顔の彼、今回はシドニーの警察官役で登場している。黄家諾(ジミー・ウォン)にちょっと似ていて、非情そうな悪役は良かったのだが・・・。


前作は荒削りだけど、力づよくて、がむしゃらで素敵だったのに、今回は変な小細工が見える。あ〜あ、こうやって、おもねるようになってはつまらない。
そういえば、この映画のプロモで香港にやってきたトニーは、妙に場慣れしてきていて、可愛く無いと言った人がいたが、映画も可愛く無くなっている様子。
2005.8.14@旺角百老匯


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