「香港葫蘆」

「香港葫蘆 賣セ薬」「香港葫蘆 賣セ薬」 
呉文正:編著 楽文書店 
2001年初版、2004年改訂


英語題に「A Visual Juorney Through Hong Kong Chinese Medicine Packaging」とあるように、香港の古い薬のパッケージを様々な角度から探り見せてくる1冊。
軟膏、霊丹(かつて皇帝がほしがったという不老長寿の秘薬に代表されるような古い精製方法で作られた薬)、薬丸(錠剤)、薬散(粉薬)、薬茶、薬油、薬酒、男人(男性用)、女人(女性用)、嬰孩(赤ちゃん)など薬の用途別にパッケージを掲載したり、デザイン編では紙、缶、瓶など素材別に分けたり、偽物防止策を紹介したり(本物と偽物を並べて比較、昔から偽物があったわけだ)、看板や広告も紹介。最後に位元堂、余仁生、タイガーバーム、白花油で有名な和興など老舗の薬屋の歴史にも触れる。
オールカラーで、レイアウトも面白く、見ているだけで楽しい。パッケージがどれも怪しくて愛らしい。古いデザインには、パソコンでデザインした物とは違う暖かみがある。同じ線1本でも、ペンで引いたものとパソコンで引いたもの違い。空間に微妙な"遊び"(余分)があるというのかな。
表題の「葫蘆」はひょうたんのこと。香港は小さなひょうたんだが、好く見るとなかかな複雑、という意味のようだ。
著者は1967年香港生まれ。香港理工大学卒。フォトジャーナリスト。仕事の合間に香港庶民の生活や社会を撮影、数年前より香港のノスタルジックな物や事柄を収集している。
ちなみに、ウチで常備しているのは、タイガーバームと白花油。肩凝りにはタイガーバームが効く。白花油は外箱のパッケージや中の小さな瓶が好きで買っているようなもの(笑)。