擁抱毎一刻花火(恋する花火)

《擁抱毎一刻火花》
呉卓羲(ロン・ン)、黄婉伶(レース・ウォン)、呉日言(ヤン・ン)、張敬軒(ヒンズ・チャン)、劉浩龍(ラウ・ホウロン)、呉浩康(ディープ・ン)、張致恒(スティーヴン・チョン)、Macy@女生宿舎、李逸朗(阿Don)、楊[女秀][イ恵]、唐詩穎 鍾少雄(ビリー・チョン):監督


呉浩康と唐詩穎はつきあって長いが、呉浩康は熱しやすい性格。大げんかのすえ、我慢の限界に来た唐詩穎は部屋を出て行った。旺角のあるビルの屋上、張致恒はMacyにプロポースする。Macyは屋上で見付けたレンガの裏に張り付いた別れの手紙の当事者2人を探し出したら結婚するという。旺角の街、アンケート用紙を抱えた呉卓羲と黄婉伶が客を争って火花を散らす。呉日言は旺角の喫茶店につとめていて、歌手になるのが夢。彼女を片思いして、付け回しているのは張敬軒だが、呉日言はあか抜けない彼がイヤでたまらない。呉日言が気になるのは、街ですれ違った李逸朗。楊[女秀][イ恵]は学校をさぼっては男ともだちとカラオケに入びたり。心配した教師・劉浩龍が彼女を説得、補習も買って出る。親にかまってもらえず寂しい思いをしていた楊[女秀][イ恵]は親身になってくれる劉浩龍に好意を抱く。5組みの若者のいまを旺角の街を舞台に描いてゆく。


大作ではなし、佳作というにも語弊があるが、小品で若手ばかりの起用で、話は旺角で、いまがいっぱい詰まっている。東京でいえば、渋谷のセンター街あたりを舞台にした映画と思えばいいかもしれない。
興味深いのは、旺角を注意深く観察したのだろうと思う脚本だ。呉卓羲と黄婉伶のアンケート取りは、西洋菜街あたりに実際にいっぱたっている。保険の勧誘なのだが、映画とは違って、実際には女性が男性客を捕まえるというタイプで、とにかくしつこく追い掛けている。張致恒が屋上からレンガを投げようとする話も、実際に旺角一帯で発生した屋上からレンガを投げる犯罪をヒントにしているだろうし(参照id:hkcl:20041004#p1)、呉日言が勤めるカフェは楼上カフェといっていま旺角一帯で流行っているビルの3階以上にあるカフェだ。呉浩康が他人に殴られることを商売にしようとするのも、旺角だったらビルの1室でできてしまいそうだ。若者のいまが垣間見えて面白い。
鍾少雄が撮ったというのも興味深い。鍾少雄といえば、思い浮かべるのは、黒社会ものやホラーものばかり。こんな映画が撮れるというのにびっくり。公開館も少なかったので、もちろん人は入っていないのだが、こんな香港映画もあるのだ。


出演しているのは、TVBの若手やデビューからあまりたっていない歌手たち。呉卓羲は、TVBの若手。呉鎮宇が出た《衝上雲霄》で人気になり、現在は《酒店風雲》出演中。それにしてもつくづく思うのは、呉卓羲、スーツ着てるとなおさら、黎明に好く似ていると思う。顔が似ているというより頭の大きさと肩幅の関係がというべきか(暴言)。黄婉伶は2Rの妹の方、張致恒は元Boyz。かなり前、西洋菜街で張敬軒がロケしているのを見かけ、MVかと思っていたが、この映画のロケだったようだ。
なお「milk」201号に載っていた黄婉伶のインタビュー時と実際では、結末のシーンが違っている。2005.8.28@GH旺角


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