青紅

《青紅》
高圓圓 王小帥(ワン・シャオシュアイ):監督


一家は、上海から貴州に移り住み、すでに20年の年月が経つ。1980年代初頭になり、改革開放政策の時代を迎え、一家は上海へ帰ろうと考えるようになっていた。ところが生まれ育ったこの地に愛着を覚える19歳の娘・青紅(高圓圓)には、両親の気持ちがわからない。
青紅に思いを寄せる青年は、商店で真っ赤なヒールの靴を買い、青紅の学校の机の中にしのばせる。人気のない場所で靴を履いて友人に見せて嬉しそうな青紅を、父親が見つける。
青紅は真っ赤な靴を履いて、父に追いつかれないようにすたすたと歩いていく。田舎の坂道や階段にヒールの赤い靴は歩きにくいが、青紅は断固として靴を脱ごうとしない。家についた父は、青紅の靴を投げ捨て、娘をしかる。娘には上海へ戻って、大学に入ってもらいたいと思っている父にとって、地元の青年との恋などもってのほかだった。


田舎の道、古びた住宅、くすんだ工場と工場で働く青年、青年たちの唯一の楽しみであろうダンスパーティー。そこで踊るやや不良がかった青年は、当時としてはたぶん最先端の格好だったと思われる、裾の広がったパンタロンを穿いている。青紅の友人は彼に恋をする。しかし彼は他の娘とのお遊びが娘の親にばれて、無理やり結婚させられてしまう。青紅の友人は失恋してしまう。


青紅を演じた高圓圓は、少女の揺れ動く心をよく表現しているが、目が大きく丸顔で、時々非常に現代的な大人の顔に見えることがあって、それがちょっと気になった。
しかし両親、特に父親と娘の心のありようの違い、19歳の少女・青紅の揺れ動く心、青紅に思いを寄せる青年の不器用で一途な心、青紅の友人の恋と失恋を、監督は丁寧に描いていて、映画が進むにつれ、じわじわと彼らの心が感じられてくる。2005.9.29@百老匯電影中心「香港亞洲電影節」


■□05年に見た映画の一覧□■