殺破狼(SPL 狼よ静かに死ね)

《殺破狼》
甄子丹(ドニー・イェン)、洪金寶(サモ・ハン)、任達華(サイモン・ヤム)、呉京ウー・ジン)、夏韶聲(ダニー・サマー)、廖啓智(リウ・カイチー)、智堯(ケン・チャン)、谷垣健治、洪天明ティーミー・ハン)、惠天賜 甄子丹:動作監督 葉偉信(ウイルソン・イップ):監督


ストーリーはあとで付け加えるとして、香港人に受けるかどうかわからないが、わたしは好きだ。やっぱり葉偉信、一生ついてゆきます(笑)。
人選は渋すぎる。凶悪顔の夏韶聲に心優しい役、冷静で思慮深い廖啓智に切れる役、ほんと久しぶりの智堯、苦痛に顔をゆがめる任達華、この4人に泣いた。呉京も無気味でよい。あんなに洪金寶を動かし(吹き替え部分はあるだろうけど)、甄子丹と呉京は狭いところで戦う。甄子丹と洪金寶の死闘に新たな驚き。こんなに激しいアクションがあるのに、映画全体は静か。押し寄せては返す海の浪のようにひたひたと、いくつもの父と子の物語りを語ってゆく。
取り逃がした犯人を追う警官たち、警察の命令を無視して突っ走して行く。同じような物語りなのに、《猛龍》とは比べ物にならない物語の厚みがそこにある。これが監督の差というものかと、まざまざと見せつけられた気がする。III級なのは、殺人過程が刺激的だからだろう(ちょっと痛いし、血も多い)。明日、もう1回見ることにいま決定。


人選が渋いと言ったのだが、馴染みのない人も多いと思うので少し紹介してみよう。
廖啓智は《無間道II》の三叔役といえば、そろそろ顔も馴染んできたか。
夏韶聲はロック歌手。香港のロックの草分け的存在で、CDデビュー25年以上の大ベテラン。昔はよくTVBのドラマに出演していたらしく、方さんファン的には《愛在暴風的日子》(90年代なかばのドラマ)の、にっくき仇役。その後、音楽に専念するために、ドラマなどへの出演は断っていたようだ。2001年には《険角》に智堯(当時は張智堯と名乗っていた)とともに出演している。
その智堯、台湾生まれで子供の時にブラジルに移民、北京語、広東語、スペイン語が話せたと記憶している。デビューは馮徳倫スティーヴン・フォン)主演の《陽光警察》だったと思う。その他には《地上最強》《険角》などに出演、たしかアクションが出来たはず。その後、香港映画で顔をみることはなかった。
天明はもちろん洪金寶の息子。惠天賜は、名前は見なれないかもしれないが、《星月童話(もう一度逢いたくて)》や《旺角黒夜(ワンナイト・イン・モンコック)》などに警官の偉いさん役で出演していて、顔を見れば分かるのでは。今回も同じく警察署の偉いさん役。by 2005.11.18@旺角百老匯


ストーリーを負う必要のない2回目の鑑賞は、少し印象が違っていて、アクション部分が特に際立って見えた。上に「静か」と書いたが、2回目はそれほど静かと感じなかったのは何故だろう。悪役が容赦なく非情で、洪金寶の悪役は、巨体と相まって、凄みがあっていい。金像奨、最佳男配角かも。
もうひとつ付け加えておくと、前にも書いたが、題字は劉徳華アンディ・ラウ)によるもの。


■□05年に見た映画の一覧□■


《殺破狼》のロケ地についてはココに。