「動・感・現場＠LOCATION」
香港電影資料館：編 HK$125
私にとって、香港映画の魅力の1つは、雑多で狭い香港の街の一角をレンズで綺麗に切り取って、まったく違う印象で銀幕の上に見せてくれることだ。カメラのレンズを通した香港は、独特な色と空気を持っている。路地を、ビルを、看板を、道を、住宅を、この香港の街を、香港のカメラマンたちはより魅力的に撮るすべを心得ているように感じる。そんな銀幕の上の香港を見ることが、香港映画を見るもっとも大きな理由かもしれない。香港に住んでいる今も、それは変わらない。
この本は電影資料館で開かれている同名の展示に合わせて出版されたもの。香港の街をロケーションの現場と捉え、映画を歴史の証人とも捉えて、映画の中にだけ残っている風景なども示しながら、新旧取り混ぜ多数のロケ現場を紹介していく。ただし、ロケ地めぐりに役立つような実用書ではないことは特記しておく。
