太陽雨(RAIN DOGS)

《太陽雨》關進偉、張穎康、廖偉雄 
何宇恒:監督


マレーシアの田舎で母と暮らす冬は、母と折り合いが悪くなって家を出て消息不明の兄を尋ねてクアラルンプールへ行く。安ホテルに着いた途端に金を取られる冬。兄は都会でそれなりに暮らしているらしく、新しい家を買って、母と弟を呼ぼうかと考えているようだ。兄から預かった金を持って夜行バスに乗った冬は、途中で金を落としたことに気付くが、どうしようもない。田舎では母にねんごろの男が出来ているが、どうやら男は母に金の無心をしているらしく冬は気に入らない。そんなとき、喧嘩が原因で兄が亡くなる。


少年が、兄の死、微かな恋、母との関係、父のこと、ピストル、いろいろなことを体験しながら、少しずつ大人になっていく姿が描かれて行く。マレーシアの重く湿った色、闇をカメラが美しく捉えている。いままで重苦しかった画面が最後になってようやく光りに満ちてくる、その光も美しい。主役の關進偉はほとんど素人らしいが、ナイーヴな感じがいい。
監督はマレーシアの人ですべてマレーシアで撮影されているが、劇中、言語はほとんど広東語。冬の兄を演じる張穎康は、劉徳華の事務所の俳優。冬の叔父役、廖偉雄は、たしか今はマレーシアで事業をやっていたような気がする。冬を演じる關進偉は、マレーシアの人で18歳。現在学生でマスコミ系を勉強中。友人につき合ってカメラテストに来てついでに受け、受かってしまったそうだ。中学生の時に1度だけ舞台劇に出たことがあるそうだが、これが初めての映画。劉徳華のところがプロデュースの「亞洲新星導」のひとつ。東京国際映画祭でも公開になるんだっけ?
2006.10.21@百老匯電影中心


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