舞台春色

《舞台春色》
任劍輝、白雪仙、何非凡、紫羅蓮、張活游 
馮志剛:監督 モノクロ 1952年 玲瓏


ナイトクラブを舞台にした物語り。ナイトクラブのマネージャー(何非凡)は、歌手の白少明(任劍輝)と白少媚(白雪仙)を雇った。経営の苦しいナイトクラブのマネージャーは、少媚がお金持ちの息子(張活游)と知り合いらしいと知って、2人の関係を利用してニュースに仕立てあげ、客を呼ぼうと考えた。
マネージャーは、2人が親しくしていることを記者に写真に撮らせると約束。実は、少媚はお金持ちの息子とは知り合いでもなんでもない。こまり果てた少媚は、取材に来た記者に本当のことを話した。すると記者は、自分がお金持ちの息子に扮してあげようという。実は少媚が記者だと思っていた人こそ、当のお金持ちの息子だったのだ。


任劍輝、白雪仙はもちろん粤劇の人気役者。たくさんの映画も撮っているが、これは粤劇を映画にしたものではなく現代劇。ところが劇中、ミュージカルのように歌うのは粤曲だし、ナイトクラブで歌うのも、もちろん粤曲で、映画全体は人間違いや、思い違いなどを含むコメディタッチ。喜劇と粤曲のとても不思議な組み合わせが繰り広げられる。
さらにスーツを着て男装で出てくる任劍輝(粤劇においても彼女は男役を演じている)は、最後に白雪仙から、実は女性で自分の従姉だと告げられる。すると任劍輝に恋していた張活游の妹は失望するという仕掛けがある。粤劇や、粤劇俳優とそのファンの関係にも見られる性の倒錯を、上手く映画の中に取り入れているのがとても面白い。2006.11.26@電影資料館「粤劇後台」


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