糊塗太太

《糊塗太太》
張英才、南紅、李香琴、兪明 
楚原:監督 1964年 モノクロ 九龍 DVD


タイトルロールは、競馬場で馬の走る様子にあの音楽からから始まる。本編が始まるとうって変わって、ミステリータッチかと思わせる。
男(張英才)が意味ありげな電話をかけ会社から出かけて行く。それを女(南紅)と男(兪明)が付けて行く。すると男は一軒の家に入っていった。そこには男女が集まって、調教師から話しを聞き、馬券を買うヒントにしようとしていた。
瑞文(南紅)は、夫の家斎(張英才)がこのところ帰りは遅いし、帰ってくれば部屋にこもっている、てっきり女に入れ揚げていると思っていた。ところが夫はどうやら競馬に夢中だと分かった。
瑞文は妙案を思い付いた。夫の友人・世豪(兪明)を巻き込んで、家斎にいいノミ屋を知っているからそこから馬券を買おうと持ちかけさせて、お金を預かり馬券を買わないという手を考えた。ところが家斎が買った馬券が大当たりしたからさあ大変。蓄えを崩してその場をなんとか補った。
気をよくした家斎は、毎回世豪に馬券を買うように頼み、毎回大当たり。そのたびに瑞文はなんとかお金をやりくりしていたが、ついにお金がなくなった瑞文は、実家の父親に借金をするはめに。
さらに、瑞文と世豪がなにやら2人でひそひそやっているのを、家斎はてっきり2人が密会していると勘違いしたからさらに大変。これに本物の競馬のノミ屋も絡んで、大騒動・・・。


楚原、乗りに乗っている時期のコメディ。ばからしくて、可笑しくて、風刺も効いている。相変わらず映画の導入部分から観客をしっかり映画に引き込んで、物語りもよく出来ていて、今見ても十分に面白い。夫を思うばかりに、ちょっと間が抜けている南紅がコケティッシュで可愛い。大柄でハンサム、バカ殿風な張英才は周潤發(チョウ・ユンファ)で、おどおどする兪明は李子雄の役どころ。じゃあ南紅はというと、鍾楚紅(チェリー・チェン)あたりなら出来そうな雰囲気。調子のいい男に、おどおどする男の組み合わせは、同じく楚原の《大丈夫日記》に受け継がれているようだ。最後には綺麗にまとめてハッピーエンド。
タイトルの《糊塗太太》は、「間抜け夫人」とでも訳すのか。


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