《父子》導演版(ディレクターズカット)

《父子》
郭富城(アーロン・クォック)、呉景滔(ン・キントー)、楊采妮(チャーリー・ヤン)、林煕蕾(ケリー・リン)、許茹芸(バレン・シュウ)、徐天佑(チョイ・ティンヤウ)、秦海璐(チン・ハイルー) 
譚家明(パトリック・タム):監督


これですよ、私が見たかったのは。121分版と大違い(121分版の感想はid:hkcl:20061201)。これならストーリーも、父子の関係も大いに納得できる。当初、カットされるのは、ラブシーンといわれていたようだが、違っていたので、気がついた範囲で、カットされた部分を上げてみる。カットされた部分は【】で囲んだ部分。(以下ねたばれを含む)

  • 郭富城(アーロン・クォック)が、楊采妮(チャーリー・ヤン)を部屋に閉じ込める。その後厨房に戻る姿。【厨房に戻った郭富城がカレーがまずいといわれて、カレーを壁に投げ付ける。】
  • 楊采妮(チャーリー・ヤン)が男(郭富城2役)に会いに行く。男の後ろ姿が楊采妮を抱き寄せる。【楊采妮と男が、子供の話をする場面。男から指輪を貰う場面。】楊采妮が遅れてレストランに到着。
  • レストランで3人が食事をし、郭富城が旅行に行こうと話す。【楊采妮が旅行代理店からチケットを受け取る。】薬局で薬を買う。
  • 旅行に行く朝の部分。この部分はどころどころカットして短くしている。
  • エプロン姿の郭富城が借金取りにあと2日ほどまってくれという。借金取りは「以降気をつけるんだな」と郭富城をつついて言う。厨房に戻った郭富城が包丁で指に怪我をしそうになって毒づく。【同僚が気を付けなよ」というと、「気をつける」という言葉に異常に反応した郭富城が、同僚に刃物を持ってつっかる。】
  • 【郭富城がカフェのようなところで、老人に声をかけ、林煕蕾(ケリー・リン)は親戚の娘で、留学する資金が足りないので、彼女に援助してやるきはないかと声をかける。老人のホテルにゆき、郭富城が金を受け取る。】郭富城がホテルのロビーのようなところで林煕蕾にあい、林煕蕾はエレベーターに乗っていく。
  • 呉景滔が楊采妮を尋ねていく。バス停であった2人が楊采妮の家に入る。【楊采妮と男の結婚の写真が写る。「結婚したのか?」と聞く。】食事をする呉景滔と楊采妮。
  • 盗みに入るのをいやがる呉景滔と郭富城のやりとりのなかで、ちょこちょことあちこちカットされている。

121分版では、やはり父子の感情のやりとり、特に子供から見た父と、盗みを無理に強いられ、いやがっている子供の感情が表現不足しているし、郭富城のダメぶりも不足している。
郭富城が林煕蕾を使って金を稼いでいる間に、呉景滔が元の家に行き許茹芸を訪ね、さらにその翌日、楊采妮に会いに行く。1晩のうちに父子に起こる出来事(父は新しい女とも切れ、残るはやはり子だけ、子は母の元にも居場所はないと思い父の元に帰る)は、交互にでてきて、2人は別の道を歩むかに見え、その実行き場のない2人は寄り添うしかなく、さらに追い詰められて行くという物語の重要なキーになる部分が、ディレクターズカットでは、よりはっきりしている。2006.12.3@百老匯電影中心


香港でこれから見る人は、絶対に159分のディレクターズカットを見てほしい。ディレクターズカットは油麻地の百老匯電影中心と銅鑼湾UA皇室Palaceの2か所で上映している。1日の項目にも書いたが、159分版は、東京国際映画祭で上映されたものとまったく同じバージョン。東京国際映画祭の150分という記述が間違っているとのこと(監督談)。


■□06年に見た映画一覧□■