安娜與安娜

監督の林愛華(右)。林嘉欣(カリーナ・ラム)、陸毅(ルー・イー)、黄騰浩 
愛華(オーブリー・ラム):監督


シンガポールに住むAnna(林嘉欣)は、仕事のため彼氏と分かれ、部屋を他人に貸して上海へやってきた。上海のとあるギャラリーで写真を数点買ったAnnaは、届けられた写真を見て驚いた。かつての恋人の顔がそこにあったのだ。Annaに店員がおかしなことを話す。「同じ人かと思ったので」。間違って届いたかつての恋人の写真を購入したいというAnnaに、どうしても写真がいるという本来の買い手が電話をした。街頭で出会った2人は瓜二つ、いや同一の人間だった・・・。


まとまっているが、いまひとつな感じ。というのも全体に陰鬱な空気が漂っているので、見終わって元気になれない映画だからだ。ドッペルゲンガーが本当にあるかどうかと質問している人がいたが、人間2つの道は同時に歩けないというたとえだと思うので、それはあまり重要ではないだろう。もしあったとしてもそれはそれでかまわないが。ホラーの要素も入れたと監督はいっていたが、ホラーならホラーでも十分良かったのだが(笑)。もちろんホラーではなく、人間所詮現実からは逃げられないのだ、と念押しされて気分が乗らない。たしかに現実から逃れられないのだが、時にはやはり逃れられるのよ、と言ってもらえると、少し気が楽になったりするわけで・・・。


林嘉欣は、ロングの巻き毛でかなり化粧の濃いキャリアウーマンと、短髪でスッピンに見える顔の2つを演じるが、彼女の演技は安心して見ていられる。陸毅、いかにも大陸のハンサムですという顔だが、魅力的ではない。顔もたたずまいも、つるっとしているより、ごつごつして何かひっかりがあるほうが魅力的だと思う(個人的な好みだが)。


タイトルバックが英語と簡体字。言語は普通話。出演者は香港と大陸。監督は香港。舞台はシンガポールと上海。


実は香港のサイトで、この映画は山本文緒の「ブルーもしくはブルー」(ISBN:4041970024)にそっくりだと言われている(元にしたに違いないとまで言われている)。私は読んでいないので分からないのだが、あらすじを見る限りかなり似ているような気はするが・・・・。
2007.10.1@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」


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