小兒女

《小兒女》尤敏、王引、雷震、王萊、鄧小宇、鄧小宙 
王天林:監督 1963年 電懋 モノクロ 國語 無字幕


母を亡くし弟たちの面倒を見ている景慧(尤敏)はある日、バスの中で知り合った元同級生の孫川(雷震)と親しくなった。景慧の父は教員をしており、同僚の秋懐(王[艸/來])とつき合っているのを子供たちが知ってしまう。新しい母は要らないという弟たちに、景慧は母親は必要だと解く。そして自分は、父が結婚すれば家を出なければならないが、若い孫川と結婚してしては、孫川の負担になると考え、自分はかつて知り合ったお金持ちの男性と結婚するとウソをついて孫川を遠ざける。しかし実際には、代用教員として島へ行こうと考え面接に出かけていた。
そんなある日、弟たちは父と秋懐が連れ立って歩いているのを目撃し、「新しい母親は要らない」と叫び、秋懐は深く傷つく。弟たちは母の墓へ向かおうとするが金がないので、孫川の家に行き金を借りようとする。そこで孫川は弟たちの話しから景慧がウソを付いていたのを知る。弟たちは、母の墓の前で泣き崩れているが、夜遅くなりさらに嵐がやって来た。父や景慧、孫川、秋懐が嵐の中を探しに出かけた・・・。(国語で無字幕のため間違っているところがあるかもしれない)


脚本は張愛玲。今見てもなかなか面白い。クライマックスにくるまでの過程で、それぞれの心がとても丁寧に描かれている。父親、婚期を逃してしまった秋懐、景慧、なかでも特に2人の弟たちの心境が手にとるように分かり、子供の心を描いた映画としてもよくできている。
始まってすぐ、景慧と孫川が知り合うところがコミカル。孫川はカゴに入れたカニを持っているのだが、そのカニが鋏で景慧のスカートを挟んでしまう。景慧はてっきりそれを痴漢だと思い孫川を殴ってしまう。犯人はカニだと分かり、カニに挟まれたまま孫川と家までやってきて、カニに水をかけてやると、やっと鋏を離す。この部分だけが少し喜劇的、あとは文芸作品といった感じで意外に深刻だが、最後は無事にハッピーエンド。
2日の座談会で天林叔は、張愛玲の脚本ではこの《小兒女》が一番好きだと話していた。
2007.11.3@香港電影資料館「大娯楽家・王天林」


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