桃花江

《桃花江》鍾情、羅維、陳厚、呉家驤、張翠英 
王天林・張善琨:監督 1956年 新華 
國語 無字幕 モノクロ 


鍾情は歌が上手な農家の娘。同じく農家の陳厚は、鍾情を密かに思っていた。ある日、田舎に歌を探しにやってきた羅維は彼女の声が気に入り、テープに収めて香港へ帰った。戦争が激しくなり、鍾情は家族とはぐれ香港へ逃れて来た。鍾情は香港での唯一の知り合い羅維を尋ねるが、引っ越したあとだった。途方に暮れる鍾情をある親子が手を差し伸べてくれ、親子の家に住まわせてもらうことになり、子ども同然に扱ってもらった。同じ時、陳厚も香港へ流れてきていた。ある日、その母親と一緒に荷物を届けにいったホテルで、ラジオから聞こえてきた歌に驚いた。自分がよく歌っていた歌だったのだ。さらにある夜、ダンスホールから聞こえて来るのも自分が羅維に聞かせた歌だった。貧しい身なりでダンスホールから追い返された鍾情は、綺麗な服を借りて再びダンスホールを尋ねるのだった。


歌が重要な映画の要素になっており、鍾情の歌は他の歌手が吹き替えている。鍾情は劇中で野良猫とあだ名され、小柄で猫っぽく、なかなか色気がある。途中、泡だらけの入浴シーンというサービスカットもある。解説によると、「当時の歌手が客演しており、この映画は香港、台湾、東南アジアで一世を風靡し、歌謡映画のはやりを作った。歌謡映画を考えたのは社長の張善[王昆]で、実質上の監督は王天林。この映画により、王天林にはオファーが殺到する」とある。隣に座った夫婦は、「あ、○○○だ」と出て来た歌手の名を呼び、歌を口ずさんでいた。
2007.11.11@香港電影資料館「大娯楽家・王天林」


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