ช็อคโกแลต(女拳覇)(チョコレート・ファイター)

《女拳覇》JiJa Yanin(ヤーニン・ウィサミタナン)、阿部寛 
プラチャヤー・ピンゲーオ:監督


ヤクザのひさし(阿部寛)は、タイで知らずに他人のシマに入り込んで、いざこざを起こした。その時に見たタイのヤクザの女・珊に一目惚れ、関係を持つようになるが、タイのヤクザに知れるのは時間の問題だった。しかしタイのヤクザは一度だけといってひさしを逃がしてやった。珊に諭され日本に帰ったひさしだったが、珊には新しい生命が宿っていた。娘は雪と名付けられたが、自閉症で言葉をほとんど発しない。しかし耳と動態視力が脅威的に優れており、タイボクシングに興味を覚え、見よう見まねで技を身につけていった。
ある日、母が癌にかかっていることが分かるが、お金がなく病院に入れられない。偶然見つけた借用書をたよりに、雪(JiJa Yanin)と兄貴分のモンは借金取りに出かけて行くのだが・・・。


いきなり日本語で「ひさしは子供の頃から傷のある物が好き・・・」とナレーションが入りかなり驚いた。日本でロケしたらしく、古い小学校の教室や風景が写って、これまたびっくり。今回の売りはなんといっても。体脂肪質率の低そうな細い少女っぽい体のJiJa Yaninから繰り出されるの真功夫(リアルカンフー)。トニー・ジャーのどすんと響く重そうな肘鉄とは違う、バネのある蹴りは美しい。前半部分のアクションに段取りっぽいところが見えて、いま一つリズミカルさに欠けるが、後半だんだんとよくなっていく。
阿部寛は、前半と後半に登場する。演技力を発揮するというところまで出番は多くないが、ラブシーンと全裸(後ろ姿)、立ち回りというサービスショットが用意されている。


それなりに楽しんだのだが、男性が主役の前2作と違って、少女が主役で雰囲気がかなり違う。少々ストーリーが弱く、ドラマ部分がいまひとつ魅力的に見えないのが残念。英語タイトルにある「チョコレート」も、小道具としてもう少し使ってもよかったのでは。前作では中華なヤクザを登場させ、今回は日本のヤクザ登場。日本向けを意識してのことか? 劇中の日本語はきちっとしていて、なんちゃって日本語ではなかったが。しかし4年もかけてJiJa Yaninを訓練して作品を作るということがすばらしい。今の香港映画にそんな余裕はないだろう。2008.4.17@旺角百老匯


■□08年に見た映画一覧□■