Bangkok Dangerous(無聲火2.0)(バンコック・デンジャラス)

《無聲火2.0》ニコラス・ケイジ、楊采妮(チャーリー・ヤン) 彭氏兄弟(パン・ブラザーズ):監督


プロの殺し屋ジョー(ニコラス・ケイジ)は、プラハでの仕事を終え、タイへ向かった。これが最後の仕事のはずだった。しかし何かがいつもと違う、自らに課している原則をことごとく破り、雇った男が犯したミスを見逃したばかりが、彼を弟子にしてしまう。さらに薬局で働く耳が聞こえず口の聞けない娘(楊采妮)に惹かれるものを感じていた・・・。


《無聲火(レイン)》のセフルリメイク。ニコラス・ケイジが《レイン》を気に入り、自らの製作会社SturnFilmsが版権を取得、パンブラザーズはニコラス・ケイジの為に脚本を書き直し、ニコラス・ケイジ自らが出演している。
これまでは非常にクールで、殺し屋の原則に忠実だった男がタイへやってくると突然、人間味に溢れてしまう。その心の動きが全然納得できないのが大いなる問題。


ニコラス・ケイジは、呉宇森ジョン・ウー)の《フェイス/オフ》に出演した時とても喜んで、ロングコートを着て2丁拳銃で、「ほらほら周潤發(チョウ・ユンファ)そっくりでしょう」と言っていたという話しを聞いたことがある。この話しが本当かどうかは定かでないが、殺し屋といえば、やっぱり周潤發の《喋血雙雄(狼 男たちの挽歌・最終章)》を思い出すし、劇中しっかり2丁拳銃なあたりを見ても、ニコラス・ケイジは周潤發に成りたいに違いない。
ところがやっぱり西洋人にアジア的な感情を演じさせるのは無理なようで、ニコラス・ケイジと楊采妮の恋は、大人が無理におとぎ話のような純な恋をしているようにしか見えないし、最後に至って引き受けた殺しを中止しようとしたり、捕われた弟子を救いに行ったり、さらに本当の本当の最後に至っては、全然駄目(ねたばれになるので詳しくは言わないが)。つまりはニコラス・ケイジの自己満足映画ってことか。
2008.9.4@旺角百老匯


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