비몽(悲夢)

《悲夢》オダギリジョー李娜英(イ・ナンヨ)、Zia(パク・ジア) 
金基徳(キム・ギドク):監督


男は夜中に車を運転し、前方不注意で交通事故を起こしたが、その場から逃げてしまった。さらに道行く人をひきそうになりブレーキを踏んだ、ところで男は目をさました。夢だ。しかし妙にリアルな夢が気になり、車を運転して現場へ行ってみると、警察が事故を処理中だった。自分が夢に見た情況とまったく同じ。男は警察の車を付け、事故を起こした車が停めてある家の前にやってきた。家から連行されて出て来たのは女性だった。男は「彼女には罪はない。自分がやった」といいはる。警察へ連れてこられた男はやはり「彼女には関係ないことだ」と言い張るが、相手にしてもらえない。
男はある女性を訪ね、自分の症状を話す。彼女はいう、私の患者が夢遊病になった時とあなたが夢を見るようになった時期が一致している。あなた達は一体だ、と。男が眠っている間に見る夢を、夢遊病の女がことどとく実行していたのだ。男は別れた彼女が忘れられない。彼女に会いに行く夢を見ると、夢遊病の彼女は大嫌いな別れた彼氏の元に行っていた。夢遊病の女性は一切の記憶がないが、男から話しを聞き混乱する・・・・。


またもシュールな世界。
《呼吸(Breath)》では張震チャン・チェン)を口のきけない役で使っていたが、今回オダギリジョーにはそのまま日本語を話し、他の出演者はハングル。広東語と北京語ならいざしらず、日本語とハングルの会話は成り立たないはずだが、最初こそいたく違和感を感じるが、そのうち、物語がこんなにシュールなのだから言語もこのままでいいと思えてくる。


オダギリジョーは最初からほとんど疑問を持たず、自分の夢のせいで見ず知らずの女性が迷惑を被っていると主張するし、自分が眠らなければ女性に迷惑がかからないと、ものすごい形相で無理矢理目を開けていたりと、あまりの献身ぶりが少し納得できない。しかし後半、台詞がなくなってからは金基徳節が全開で不条理な展開がまっている。《呼吸》に出演していたZiaがこれまた強烈な演技で李娜英にからんできて一挙にクライマックスへ。最後は美しいラブストーリーだった。
2008.10.21@Palace Ifc(香港亞洲電影節)


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