金枝玉葉

《金枝玉葉》張瑛、夏萍、梁醒波、譚蘭卿、黎灼灼 
呉回:監督 華僑電影 1959年 カラー 粤語 無字幕


《金枝玉葉》は1953年のハリウッド映画《ローマの休日》の香港タイトルで、この映画はそのリメイク(版権を取っているのかは不明、たぶん取っていないと思う)。


パリ帰りのお金持ちの家のお嬢様(夏萍)は、旧家のしきたりが窮屈。父親が従兄と結婚させようとしたのに反発して、車を運転して海辺にやってきた。将来を悲観して衝動的に自殺しようと海に飛び込んだ。沖に停泊していた船に乗っていた作家(張瑛)が彼女を助ける。作家は娘がラジオの音楽にあわせて踊るのを見て、てっきりクラブのダンサーだと思い込む。マカオに行く予定だった作家は、家はない、(作家の思い込みに会わせて)ダンスホールには帰りたくないという娘をマカオまで連れていってやった。
マカオで新聞を見て、くだんの娘が失踪した大金持ちの娘にそっくりだと知った作家は、知り合いの新聞記者(梁醒波)に特大ニュースだと知らせる。一度は娘と別行動だったが、うまく娘を探し出した作家は新聞記者と企んで、娘に住まいを提供したうえに、自分と娘の親密な写真を取ろうと考えるのだが・・・。


ローマの休日》はロマンティックなラブストーリーで、ローマ観光案内映画でもあるが、《金枝玉葉》は立派なコメディで、1959年のマカオの町並みが少しと大三巴が映る。
パリ帰りのお嬢様は、家に着くなり短パンにノースリーブで現れて父親や叔母たちを卒倒させる。叔母たちは彼女に古めかしい旗袍を着せ、それこそ箸の上げ下ろしから教えようとするが、教える方もいまひとつエレガントではないところで大笑い。娘は入水自殺しようとするが、なぜかパスポートだけはしっかり持っているのに、話しの最後、マカオから香港に戻る時にはパスポートを忘れる(パスポートがなくても香港に戻れたのだろうか?)。最初は作りものの恋人が終いには本物の恋人になり、マカオでデートを重ねるのだが、2人は歌を歌いながら一緒に料理を作ったりしている(いったいどんな料理なのか不明)。香港の家では娘は死んだ事になっており、娘が帰るとお手伝いは持っていた皿を落とし、当然のごとく叔母たちは幽霊だと思い数珠をつかんで震える。
ローマの休日》からこんなコメディ映画を作り出してしまった香港映画がステキだ。


ちなみにオードリー・ヘップバーンは漢字で書くと柯徳莉・夏萍。主演女優の名は夏萍。wikiによれば、呉回監督が名を付けたのだとか。さらにちなみに、夏萍は現在も映画やテレビで活躍中。《導火線》の凶悪3兄弟の母役が夏萍。
2009.2.1@香港電影資料館「好事成雙 喜氣洋洋」


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