紡織姑娘

《紡織姑娘》余男 王全安:監督


紡績工場で働く気の強い妻と魚屋の夫と一人息子は、とてつもなく豊ではないが、普通の生活を送っている。無理をしているかもしれないが子供にはピアノを習わせている。ある日妻は工場で倒れ病院へ運ばれ、検査の結果、白血病と診断される。医者は夫に、今手術をすれば治る確率は高いが費用は数万、薬を飲めば延命できる、もし何もしなければ数か月の命だと話す。夫は悩むが数万の大金はない、結局妻は工場を止め休養を取ることにした。ある日妻は夫に北京へ行きたいと話す。
一見平凡に見える妻には、実は忘れられない過去があった。初恋の男を尋ねて北京へ。男がいるはずの布プリント工場は、別の場所に移転していた。美しい布をつくり出すとは思えない薄汚れて雑然とした工場の中を歩いていく。尋ねあてた男が最初に写る瞬間が印象的だ。男は機械の側で寝ている。くたびれた中年男だ。
中年男と妻は10年ぶりの再会で、鍋を挟んでお互いのその後と今を確認していく。2人の間に誤解があったらしいことが語られて行くが、いまやどうすることもできない。それでも妻は、北京にやってきたもう1つの目的である海をこの男と見に行く。北京に戻った妻は、一度は自殺しようとするのが、思いとどまり西安に帰る。病状は安定しているように見えたが、やはり病は確実に妻の身体を蝕んでいた。夫はついに家を手放し、手術費用を用意するのだった。
その頃、北京の中年男は、かつて弾いたアコーディオンを引っぱりだしていた・・・。


《图雅的婚事(トゥヤーの結婚)》は残念ながら見ていないので、これが初めて見る余男と王全安監督の映画。なかなか辛い結末で、人間は悲しいなと思う。何事も時期を逃すと後戻りは出来ない。ならば、前を見ていきたい。
2009.10.25@香港亞洲電影節(bc)


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