音樂人生 KJ

《音樂人生KJ》張經緯:監督 ドキュメンタリー 


今年の金馬奨で最優秀記録映画賞、編集、音楽効果賞の3つの賞を獲得した作品。
1人の天才(といっていのだろう)音楽家・黄家正(KJ)を通して人生とは何かを探って行く。17歳の黄家正は拔萃学院で学ぶ学生で、学校のオーケストラを指揮し、弦楽四重奏を指導する。遡ること6年、11歳の黄家正は、父とチェコへやってきてプロの音楽家と共演しようとしている。映画はこの2つの時間を行き来しながら、彼と父、さらに兄、妹との関わり、音楽に対する態度、人生についての思いを吐露していく。


実は映画は彼が11歳の時に撮り始めたが一時資金難で中断、6年後新たにCNEX基金會の資金を得て撮り終えたもので、当初から計画的に6年の歳月が考えられたわけではなかったようだ。しかし、そのハンディを生かして、時系列ではなく、ある主題に向かって物語りが収斂していくという編集方法を採用している。そしてこの映画の面白さは、とりもなおさず、主人公である黄家正の性格に負うところが大きい。卓越したピアノの腕前もさることながら、11歳にしてすでに人生を語る早熟な少年。そして17歳の彼は、すでにりっぱな音楽家として、年下の生徒に接し、同級生達を引きいて行く。彼の頭の中には確固とした音の形が顕在しているのだろう。
拔萃を卒業した彼はアメリカで学び、現在はたぶん香港に帰って来ているらしい。


なおこの映画を製作したCNEX基金會は、杜海濱監督の《傘.....》(id:hkcl:20081005)も《1428》(id:hkcl:20091026)も製作していた。2009.11.29@中環・前荷李活道前已婚警察宿舍(特別上映)


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