《秒速18米》

《秒速18米》高皓正、鮑起静、廖啓智、唐寧、EO2、葉文輝 脚本・演出:李偉祥 


香港の自転車競技チャンピオン洪松蔭の実話に基づいた物語。
自転車が大好きで友人たちと練習を重ねる洪松蔭(高皓正)だが、学校では不良とみなされ退学させられる。兄(実際は友人)が事故で亡くなり、母(鮑起静)と衝突、家を出てさまざまな職業を転々とするが、ある自転車屋につとめることになってからは、自転車屋の社長(廖啓智)のサポートを得て、自転車競技に参加するようになる。さらに初恋の人(唐寧)に再会。しかし大会で負傷、自信をなくし自暴自棄になる。恋人の励ましをうけ復活、再び世界をめざすようになる・・・。


若い人に勇気を、そして夢をあきらめないで、がんばれという応援の意味が含まれている。笑いあり、涙ありの、わかりやすい舞台。やはり演技派の鮑起静、廖啓智に支えられてこそ、涙ありの感動的な舞台になっている。
舞台終了後、洪松蔭ご本人が自転車に乗って登場。感極まって涙ながらに「若者よ夢をあきらめないで」と訴えた。本当は母に見せたかったが、足が悪くて会場に来られないとも。そして鮑起静は母にそっくりだと涙。ついでに妻も登場。
物語は最初、洪松蔭の母校で生徒が演劇コンテストに出場するために作った8場、30分の舞台だったそうだ。それを演出家が発展させて、この形になった。舞台背景に映像(動画)を写して物語を補ってしまうという、ちょっと普通の舞台ではやらないようなことをしてしまっているが、ようは物語をわかりやすくより感動的に観客に見せたいがためで、考え方の違いととればいいのだろう。2008年初演、今回は再演。2010.1.3@香港文化中心


パンフレットによると唐寧(レイラ・トン)は子役出身で、呉宇森ジョン・ウー)監督の《縦横四海》では鍾楚紅の子供時代を演じていたようだ。さらに《白髮魔女傳》では、子供時代の卓一航も演じているとか。知らなかった。