《金鎖記》

《金鎖記》焦媛(ペリー・チウ)、尹子維(テレンス・イン) 
張愛玲(アイリーン・チャン):原作 
王安憶:脚本 
許鞍華(アン・ホイ):演出


昨年の再演。物語は前回を参照(id:hkcl:20090406)。
焦媛は前回同様すばらしい。尹子維は前回は初演ということもあり堅さと緊張が漂っていたが、今回はかなりこなれてきた印象で、優男ぶりは相応しい役。
焦媛の舞台は実はかなりエロティシズムが漂う大人なお芝居で、この《金鎖記》でも自らの運命を呪うとともに、女性として満たされない思いを夫の弟である尹子維にぶつけていくが、それさえも確実には受け止めてはもらえない。2人が舞台に登場すると舞台上は緊張感と濃密な空気につつまれ、2人の危うい駆け引きの場へと変貌する。男は気があるそぶりは見せるものの、けして自分の身を危うくする女の術にははまらない冷酷さを持っている。そんなエロティシズムを焦媛と共有できる尹子維はなかなか得難い存在だと思う。
そういえば、今回は舞台上部の電光掲示板に字幕が出ていた。2010.6.25@上環文娯中心劇院