成記茶樓

《成記茶樓》
陳觀泰、汪禹、程剛、林偉圖 
桂治洪:監督 1974年 カラー 粤語 邵氏


成記茶樓がオープンした。主は成哥(陳觀泰)。従業員を家族のごとく扱う成哥にみなは全幅の信頼を寄せている。
開店の日、点心部門の若者が無断で休みを取っていた。成哥は若者を呼び出し、チンピラと仲良くするなと言い聞かす。不服に思う若者は、チンピラにそそのかされ、カップルを襲って金を巻き上げようとするが、あいにく警官に捕まってしまう。ところが裁判では未成年ということで、1年の観察処分となる。店に戻り謝る若者に成哥は、裁判では無罪でもここでは1年の謹慎処分だと言い渡す。やけになった若者は、銀行強盗を働き1年の刑を望む。
茶樓の点心売りの娘は、チンピラにたぶらかされ乱暴され、チンピラから逃げて茶樓にってきた。ある日チンピラが彼女の居所を探しだし、茶樓に乗り込んできた。茶樓のみなが力を合わせチンピラを追い払ったが、今度は黒社会の親分が乗り込んできた。しかしこの親分、成哥を同じ組織の者と勘違いしていた・・・・。


おおまかな感想は初見(id:hkcl:20050913)と同じ。スクリーンで見ると、団地を上から見下ろすショット、最後のスローモーションなどがより外連味たっぷり。団地は入居前かと思われるが、慈雲山邨で撮影されたそうだ(現在は立て替えられている)。70年代中頃には特に少年の犯罪が多かった団地でもあり、劇中の少年たちの犯罪は当時としてはリアルだったのだろう。それにしてもチンピラたちの行動は、絵に描いたようなチンピラぶり。そして団地、チンピラ、縄張り争いなど、このあと80年代、90年代に登場する黒社会映画や古惑仔映画の先取りになっている。
この映画はIII級指定だが、それは青少年が犯罪を犯すからか? 劇中、成哥が本物の黒社会の大哥と酒ならぬ茶を酌み交わすすシーンがあるが、最初に手で挨拶をする(手印)場面が出てくる。映画のレイティングではたしかこれがあるとIII級と言われていたような気がするがどうだろうか(杜[王其]峰の《黒社会》の時に話題になったと記憶している)。
カンフースターであるはずの陳觀泰は、ここでは一切のアクションを披露することがなく(犬に追いかけられる場面と最後の乱闘シーンでは動いているが)、ただひたすた強面の顔と態度で敵を圧していくのが興味深い。
2011.4.23@香港電影資料館「反建制的先鋒・桂治洪」


■□11年に見た映画一覧□■