孤星血涙

《孤星血涙》
呉楚帆、張活游、容小意、梅綺、李小龍、劉克宣 
珠璣:監督 1955年 モノクロ 粤語


雨の夜鍛冶屋の家の前に赤子を抱えた女性が倒れていた。女性は赤子の名前を言い、罠にはめられたと言うが、子供にはこのことは内緒にして欲しいと言って息を引き取った。鍛冶屋は、赤子・復群を引き取って育てることにした。成長した復群(李小龍)は、鍛冶屋を助けよく働いていた。ある日、山に枯れ木を拾いにいった復群は、脱獄犯・范田笙(呉楚帆)に遭遇する。脱獄犯に言われるまま、夜中にこっそりと鍛冶屋の道具や飯をもって脱獄犯を助けてやろうとするが、隠れ家は村人や警官に包囲される。その時、初めて脱獄犯は、自分を助けてくれた子供が、自分の息子で、妻はすでに亡くなっていることを知る。
村には金持ちの医者がいるが、貧乏人の病人には見向きもぜず、復群の隣家の母は医者にかかれず亡くなっていた。鍛冶屋は隣家の娘(蕭芳芳)も引き取って育てる。脱獄犯は、この村の医者・杜濟仁(劉克宣)に罠にはめられ投獄されていた。復讐のため脱獄したが、1度は目は失敗、再び脱獄、今度は見事に成功し知り合いの薬局に身を隠し、息子へ学費を密かに送り続け、息子を貧しい人のための医者にしようと考える。
杜濟仁は脱獄犯の復讐が怖くなんとしても脱獄犯を見つけだそうと考える。鍛冶屋の復群と脱獄犯がなんらかの関係があるとにらんだ杜濟仁は、復群が都会の学校に行くと知って、自分の娘も同じ学校に入れ、復群に近づくものがいないかさぐりを入れるが、接触してくるものはいない。学校を終え故郷へ戻った復群(張活游)に今度は医者になるようにと新たに多額の援助があった。再び学校へ行く復群だが、村で学費を出せるほどの金持ちは杜濟仁以外にいないため、復群は学費は杜濟仁が出してくれているものとすっかり思い違いをしてしまうのだった。
復群は、医者になる勉強を終え、いよいよ故郷に病院を作ろうと戻ってくるが、杜濟仁に言いくるめられ、村の病院を放棄し、鍛冶屋の父と隣家の娘(容小意)は失望する。街で薬屋になった復群は新しい薬を作ったが、杜濟仁は中身を偽り、復群は偽薬を売ってしまう。復群は父と同様、杜濟仁にはめられるのだった・・・。


快活で実は頭のよさそうな子役の李小龍から、誠実だが愚鈍ともいえる大人の張活游になってしまうあたりが、納得がいかない(笑)。しかし李小龍は普段より機転がきかなそうな役に作られていて、そこをなんとか演じているあたりは、名子役の面目躍如。隣家の娘を演じる蕭芳芳(当時8歳)の可愛さも目を引く。
解説によるとチャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」を民初時代に置き換え、復讐+因縁劇にしたもの。
2011.5.7@香港電影資料館「人人為我、我為人人:中聯電影」


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