Le Trou(穴)

《穴(Le Trou)》
マーク・ミシェル、ジャン・ケロディ、ミシェル・コンスタンタン、フィリップ・ルロワ、レイモンド・ムーニエ、カトリーヌ・スパーク ジャック・ベッケル:監督 1960年


詳しい物語は省略。穴を掘ってパリのサンテ刑務所から脱獄を試みる男たちの物語。
ひたすら穴を掘っている。コンクリートの床や壁を鉄の棒でがんがんたたく、隠しもっているヤスリで鉄棒を切る。その音がスクリーンから映画館に響き渡る。掘っても掘ってもいつ出られるのか分からない、看守に見つかるかもしれないという緊張感が最後まで物語を牽引していく。鏡を隠しておいて、たたいて砕き、破片を歯ブラシに糸で結びつけて覗き穴からそっと出して周囲を観察する。医務室からガラス瓶を盗みだして砂時計を作ってみたりもする。そして下水道があるパリならではの脱出方法。
囚人たちは監房の中で段ボールを組み立てて細長い箱を作っている。あの箱のサイズはワインを入れる箱だろうか。
男たちの面構えがいい。それにぶよぶよしてない締まった身体。身体が入るぎりぎりの床の穴を出入りして、穴掘り現場と監獄を行き来する男たち。あらゆる無駄をそぎ落として、効率よく仕事を進める。看守の眼をごまかすための細かい工夫、限られた道具でただただ掘る。ストイックなまでの行動は、美しくもある。
2011.6.25@百老匯電影中心(黒色電影・法國×香港)


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