快門

《快門》
黄偉傑:監督 
(36分の短編)


決定的瞬間を撮ることで知られ、かつて神槍手と呼ばれていた新聞社のカメラマン昌哥。愛機ライカとともに無数の決定的瞬間を撮ってきた。しかし18年前のある日、突然姿を消して消息が知れなくなっていた。そんな昌哥を今は新聞社の編集長となった元同僚が探し出し、再び昌哥に写真を撮らせようとしていた。しかし昌哥はシャッターを押そうとしない。編集長は、若いカメラマンと昌哥を組ませ現場に向かわせるが、昌哥はやはりシャッターが押せない。18年前、いったい何があったのか・・・。


タイトルの「快門」とはシャッターのこと。18年間のある事件がきっかけてシャッターを押せなくなった新聞社のカメラマンは「シャッターを押す瞬間は自らが決めるものだ」と話し、若いカメラマンの「1枚の写真は、数千の文字よりも多くの事を語れる」と主張する。しかし悲惨な現場を目の前にしてはたしてシャッターは押すべきなのか、いや押せるのか・・・。良心とは道徳とは何かと観客に問いかける。
「事実を元にとても真摯に作られており、昌哥を知る人のインタビューを途中に挟みながら、劇中劇が進んでいく」と見せかけて、実はすべてが作り物である。主人公には何人かの人物を投影しており、途中挟まれるインタビューもリアルを装った芝居と、手の込んだ仕掛けになっている。コンセプトも主張も明確で骨太な印象の映画。主人公を演じた俳優は舞台の人だそうでなかなかな面構えだった。なお作品は、2011鮮浪潮最佳攝影獎を受賞している。
2011.10.26@香港亞洲電影節(The One)


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