パスカル=アレックス・ヴァンサン:監督
映画《黒蜥蜴》からはじまり、美輪明宏自身へのインタビューはもちろん、寺山修司や三島由紀夫との関係を解説、横尾忠則や宮崎駿へのインタビューを通して、美輪明宏の魅力に迫るドキュメンタリー。ジェンダーを超えた美輪明宏の存在を浮かび上がらせる。フランス人監督の作品。
デビューしたての美少年のころは知らない。私が認識した頃には、すでに叔母様的な状態になっていたのだが、この映画の最後で結論づけられるように、美輪明宏は、女でも男でもなく(いやどちらでもあるのかもしれないが)、美輪明宏だった。そして他の誰でもない美輪明宏を疑問に思うこともなく、受け入れていたと思う。
《黒蜥蜴》については、実は映画は見てないが、97年青山劇場での舞台《黒蜥蜴》は見ている。普段、舞台はあまり見ないのだが、この時は評判になっていた《黒蜥蜴》の何度目かの再演で、雑誌などへの露出も多く気になって、見に行ったのだと思う。客席は満員だった。記憶をたぐると、明智小五郎役は名高達郎だったように思う。細部は覚えていないが、濃密な時間だった記憶が残っている。今回のドキュメンタリーを見て、深作の映画《黒蜥蜴》が見たくなった。
2011.11.24@百老匯電影中心(香港同志影展)