危險關係

《危險關係》
章子怡チャン・ツィイー)、張柏芝セシリア・チョン)、チャン・ドンゴン、竇驍(ショーン・ドウ) 
ホ・ジノ:監督


上海の実業家で未亡人の莫婕妤(張柏芝)は、自らの美貌を武器に男ばかりの実業界を生きている。ある日莫婕妤は、自分が目をつけていた資産家が若い少女と婚約したことを知って苦い思いをする。莫婕妤は、資産家の2代目でプレイボーイの謝易梵(チャン・ドンゴン)にこの若い娘を口説き落として欲しいと頼むが、謝易梵は興味を示さない。それどころか謝易梵は、祖母が連れてきた未亡人・杜芬玉(章子怡)が気になる。杜芬玉の亡くなった夫は著名な大学教授で、杜芬玉はいまでも夫を慕っているようだ。莫婕妤と謝易梵は、この貞淑な未亡人・杜芬玉を回って賭けを始めた・・・


ラクロの『危険な関係』を1930年代の上海に舞台を移して翻案した作品。中国・韓国合作。
ホ・ジノ監督作品はこれまでに《春の日は過ぎゆく》《四月の雪》《きみに微笑む雨》の3作品を見ている(《八月のクリスマス》は見てない)。私の中のイメージは、どちらかというと、静かに愛を語るという感じで、従ってこの《危險關係》も、意外にも原作の物語をかなり正確になぞっていて少々おもしろみにかけている。もっと激情的でエロティシズム溢れた映画を期待したのだが、監督がホ・ジノだということで、こうなる事は分かっていたのかもしれない。
主役3人の中ではやはり章子怡がずば抜けて上手いと思う。特に、亡くなった夫を思って貞淑だった章子怡チャン・ドンゴンと愛を確認した後、ひっつめだった髪をおろしてウエーブのかかった柔らかい髪になるところなど、ほのかなエロスが漂う。チャン・ドンゴンは(もちろん声は吹き替えだろう)、可もなく不可もなく無難にこなしている感じ。張柏芝がやはり問題かもしれない。表情がいつも同じで、しなをつくってはわざとらしさが漂う。もちろん物語は虚構なのだが、そこにリアリティを吹き込んでいくのが俳優・女優だと思うのだが、どうも現実から映画の世界に連れ込んでくれない。なぜこんなに下手になったんだろう。
竇驍の長い顔は苦手なのだが、それでも若者らしい、おどおどした表情やなげやりな姿を的確に表現していた。
2012.11.15@新寶戲院


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