不二神探(ドラゴン・コップス 微笑走査線)

《不二神探》
李連杰ジェット・リー)、文章、劉詩詩、陳妍希、柳岩、馮徳倫、謝天華、鄒兆龍、黄暁明、田亮 王子鳴:監督


このところ香港では、テレビタレント(鄭嘉穎)、イケメンのダンサー(謝天華)、高飛び込み選手(田亮)が、何故か微笑みをたたえたまま死んでいた。そして今日、不動産屋の男(佟大為)がやはり微笑みをたたえたままコンクリート詰め死体で発見された。この4人の男たちにいったいどんな共通点があるというのか。そして彼らは何故殺されたのか。捜査にあたるのは、若手刑事・不二(文章)ともうすぐ定年のベテラン刑事・黄飛紅(李連杰)の問題コンビ。頭が痛いのは2人の上司(陳妍希)だ・・・・。


香港映画のベテランプロデューサーが、香港映画テイスト満載で大陸に向け作った香港映画ということか。それも、あえて外から見た香港映画、つまりベタな香港映画のテイストをたっぷり盛り込んでいるところが非常に興味深い。
李連杰と文章のコンビは成龍と(たとえば)古天樂に、陳妍希は若いころの張曼玉あたりにおきかえ可能なキャラクターだと見始めてすぐに思う。3人のキャラクター設定も性格づけがはっきりしていて、それもまた立派な香港映画っぷり。犯人捜しに飛び込りで出てくる悪党役は鄒兆龍で、李連杰と鄒兆龍の戦いが心なしかMMA風になっているのを見ると《導火線》での甄子丹vs鄒兆龍を思い出したりもする。それに今やめったに香港映画ではおめにかかれない戲棚(粤劇の為の竹で組んだ小屋がけ)での戦いはよき時代の香港映画への思い入れを感じる。
新たな香港映画の戦いが《竊聽風雲》や《寒戰》のような頭脳戦に変わり、派手な爆破や大がかりな撮影(林超賢や陳木勝のような)になっているのに逆行するかのようだが、なんだか安心して見ていられるし、それがノスタルジーを感じるほど古くなっているのではなく、絶妙なさじ加減でできあがっている。キャストの顔ぶれを見てもみながよく知っている俳優が多数出演しており、ここでも安心感が倍増する。そして多いに感心するのは、李連杰が軽々とこの役を演じていて、そしてそれがはまっていること。歳を経て役の幅が広がっていることだった。
2014.3.24@Cinamart六本木


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