双雄(ヒロイック・デュオ)

鄭伊健(イーキン・チェン)、黎明(レオン・ライ)、呉鎮宇(ン・ジャンユー)、林嘉欣(カリーナ・ラム)、黄浩然(レイモンド・ウォン)、徐静蕾(シュウ・ジンレイ) 陳木勝(ベニー・チャン):監督


宝石のオークションが行われる前夜、警察内部で警察官が盗みを働き、さらに資料庫に火を放つという、考えられない事態が起こった。資料庫に火を放った警察官は、自分はまったく何も覚えていない。意識のないうちの行動だと訴える。眼の前の紙に、手を繋いでいる2人の人物の絵を描き、覚えているのはこれだけだとつぶやく。さらに取り調べ中の警察官は、隙を見て自殺を遂げてしまった。いったい何が起こったのか?まるで何かに操られているようなこの行動を見て、重案組・李文建(鄭伊健)は、睡眠術師で、現在は殺人事件犯人として収監されている黎上正(黎明)に捜査協力を要請した。
黎上正はこれほどの催眠術を操れる人物は1人、自分の師匠(呉鎮宇)だけだという・・・。


陳木勝といえば、《ジェネックス・コップ》や《怒火街頭》。アクションシーンはお金もかけて、火薬が多くて、カーチェイスもあって、青馬大橋封鎖して、ヘリ飛ばして派手です。黎明も鄭伊健も、そして黄浩然も動いております(黎明は、それほどでもないけど)。アクション方面は、いいと思うのだ。そして、呉鎮宇は嫌なヤツ。非情なのです。画面の色は《無間道》を意識していると思うけど、《無間道》の錆色じゃなくて、セピアに近い色にしている。薄暗い感じは、かなり好きです。


良いところはいっぱいあると思う。そして、いろんなものが沢山詰まっているのに、どうも何かが足りない。俳優の力不足なのか、監督の限界なのか?? 黎明って感情が顔に出ない。具体的にいうと眼に感情が宿らない。いやそう見える。それが役によっては良いときもあると思うが、この役は微妙。最初はかなりいい。悪いのか良いのか分からない役だから、ポーカーフェイスでいい。問題は後半。妻を愛している黎明が、どうも納得できない(笑)。ただ、今まで見たことない黎明は見られる。でも、あと少し表情が欲しいんだ(笑)。
伊健はアクションもなんとかこなし、かっこいいのはいい。彼も今までやった事のない役で、そつなくちゃんと役を演じてる。ちょっと強すぎる気はするが(笑)。黎明の妻に対して、鄭伊健の方は林嘉欣が彼女役。彼女がやはり警察官なんだが、これは林嘉欣には合わない役だった。彼女、柔らかすぎる。もう少し堅めの、やっぱり梁詠[王其]ぐらいじゃないと(笑)。もしくは警察官にしないという手もあるが・・。
黄浩然はもう人相めちゃくちゃ悪くして、嫌な刑事役。彼もめいっぱいやっていた。しかしホント人相が・・・、ヤバイ。前から気になっているんだけど、彼、眼いじってないか?? それとも最初のころから比べて痩せて顔が変わったから、そう見えるのか? 呉鎮宇はもう非情な役だが、切れちゃう狂気の呉鎮宇ではなく、冷酷。これも無難だと思う。


最初に出たコピーは「人間の脳、それは最も危険な武器だ」。武器は銃でも火器でもないと言っているのに、銃火器満載(笑)。陳木勝は、とかく派手な方に気を取られ過ぎ。『電影双周刊』のインタビューでは、アクションシーンだけじゃなくて、感情(林嘉欣と鄭伊健、黎明と妻)部分も重視したと言っている。それはいいけど、ここでもっと力入れて描かなくちゃいけないのは、催眠術で人の心を操るってことじゃないのかな、違う?? だとしたら、黎明と鄭伊健と呉鎮宇心理的な駆け引きをもっと見せないといけないでしょ。それを、火力で解決しちゃうっていうのはね、どうなんでしょうか?? そりゃその方が派手だけけど。
やっぱり重要なのはアクションで、催眠術は、出来ない事を可能にするための武器の1つに過ぎないと考えている? だとしても、この武器使用は簡単じゃないんだから、的確な使用説明が必要じゃない? なんというか、とにかく、あと少し足りないのです・・。もちろん全体は水準以上ですし、アクションシーンは見所あります。だけど期待が大きいと評価は厳しくなりがち・・・。時間があれば、もう1回見ようとは思っているのだが。2度見たら感想が変わるかな??
金曜日、9:30からの銅鑼灣、70%の入り。爆満かと思ったんだけど・・。《双雄》より《愛上你的床》の方が、人が入っているみたい。


■□03年に見た映画一覧□■