小城之春(春の惑い)

田壮壮:監督


第二次世界大戦後(たぶん)の中国南方のある小都市に春がやってくる。焼け爛れた家の合間にある屋敷。屋敷の主人はまだ30過ぎだというのに病気がちで、寝たり起きたりの日々。8年前に結婚した妻、主人の歳若い妹、そして執事だけが暮らす。いつ治るかわからない自分の病気に腹を立てる主人は、妻にあたってみたりする。そこへ、主人の同級生が、10年ぶりに尋ねてくる。同級生は今は上海で医者になっているという。同級生は妻の幼馴染だった。
半世紀前に撮られた同名映画のリメイク。元の映画は見ていない。
病気がちの夫、まだ若く美しい妻、大人になりかけの妹、都会からやってきた幼馴染。閉塞した屋敷の中で、この4人の思いが深く静かに息づいてゆく。しかしそこは中国映画、ことは起こりそうで起こらないし、嫉妬が渦巻くわけでもない。諦めに似た感情が全体を支配して模糊としている。それだけに個々の感情描写の細かさが際立つ。2004.9.12@百老匯電影中心


■□04年に見た映画の一覧□■