香港映画界は政府協力の下、海賊版問題に取り組んできた。しかし今度はインターネットから無料でダウンロードするBit Torrentが盛んになり、これが映画への出資と小品や中品の映画撮影に影響を与え、映画生産量が少なくなっている。陳嘉上（ゴードン・チャン）、施南生や寰亞電影公司の責任者である荘澄は、業界内に断層があることは認めているが、現在は転換期で、行き止まりではなく、さらに近いうちに業界内の人々で「緊急応変小組（緊急対応小委員会）」を組織し、政府の該当部門と協力して知的所有権の問題について考えるという。陳嘉上は「私たちに仕事（映画）は終わったわけではありません」と話した。
「緊急応変小組（緊急対応小委員会）」には、監督・陳可辛（ピーター・チャン）、陳嘉上、荘澄、黄百鳴（レイモンド・ウォン）、安樂電影公司の江志強（ビル・コン）、さらに嘉禾（ゴールデン・ハーベスト）電影公司責任者の潘氏などが含まれ、施南生が召集係りをつとめる。
施南生、陳嘉上、荘澄は昨日、マスコミに向け、映画界は空前の惨劇に見舞われていると報道されていることは、マイナス面を強調しすぎだと述べた。確かに最近、生産量は減っているが、一定の質を持った大作は減ってはいない。荘澄は「例えば寰亞の来年は8作品を撮影する。さらに《頭文字D》《七剣》は来年上映する」と話した。by 2004.11.28「明報」
・成龍、映画界は終わりかと嘆く
香港映画は海賊版による打撃を受けている以外に、最近はネットからのダウンロードも影響して前代未聞の困難に直面している。いま撮影中の映画を除いて、各映画会社は新しい映画の撮影を取りやめているところも多い。成龍（ジャッキー・チェン）、寰宇の林小明、英皇の楊受成ら映画関係者は、先日緊急会議を開き対策を検討した。さらにデモをしようという雰囲気にもなっているという。デモにより香港映画が危機に瀕していると政府を喚起し、協力して映画を救おうというものだ。
デモについては昨日、林小明は「もし他の方法があれば、デモである必要はない。いまは解決の方法を探しているところだ。実は海賊版とダウンロード問題以外に、乱造、俳優のギャラの値上げでの製作費の高騰なども問題。いまはスターがいないから宣伝にも資金が必要、海外に売るのも難しく、収支は全部赤字で、誰も出資したがらない。それでこのように下落している。娯楽産業全体が死に体。俳優たちは、目先ばかり考えず、遠くを見てほしい」と話した。また電影工作社総会会長・呉思遠は、デモでみんなが目標をはっきり知り、どのようにすればいいかよく考えられればと思っていると述べた。
これ以外には映画館も大きな影響を受けている。今年12月の稼ぎ時に、いままで一貫して香港映画を上映してきた新寶院線（配給）が、初めてこの時期に韓国映画《生死別恋》*1を上映する。新寶院線の陳榮美は「香港映画はすでに撮れなくなっています。韓国映画でなんとか活路を見いだしたい」と話した。by 2004.11.28「太陽報」
「明報」と「太陽報」が報道していますが、瀕死なのは確かだ。最近特に、新しい映画撮影開始という話が聞こえてこない。クリスマスだけでなく、旧正月映画の話しもあまり聞かない。さらに上映される映画の興行成績が伸びない（これは香港映画だけでなく、今年は西洋映画にも大きなヒットがないと思う）。ホントにこのまま香港映画が滅びてしまう状態を見ることになるのか？ 起死回生はあるのか？ 先だっての討論会（id:hkcl:20041113#p2）で呉宇森（ジョン・ウー）は、香港映画は不滅だと言った。それは香港人の不屈の精神でなんとか窮地を脱して欲しし、いや脱しなければならないという悲願に似た発言だったのかもしれない。
みな分かっているのに手をこまねいていたのだ。先を見ないのは俳優だけじゃなくて、制作者もじゃないのか。目先ばかり考えて、俳優や監督を消耗させてはいなかったのか？ 新しい監督、スタッフ、俳優（スター）を養成してこなかったのは誰なのか？ そんなツケが一気に回ってきたわけだ。海賊版やダウンロードのせいだけじゃない。
香港では、若い人だけでなく、ある一定以上の歳の人でも、映画館で映画を見る習慣は残っている。早く手を打てば、客は戻ってくるはずだ。面白い映画、いい映画を作れば客は映画館で見る。さらに映画館対策としては、名画座のように古い作品をもう1度公開してはどうかと思うが、香港人には馴染まないのか？ これ以外にもまだまだやるべき事はあるのではないか。
ところで新寶院線だが、改装中の旺角の金聲戲院は、改装後は「新寶戲院」と名前が変わるようだ。
