早熟(早熟〜青い蕾〜)

《早熟》房祖名(ジェシー・チェン)、薜凱琪(フィオナ・シッ)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、余安安(ユー・オンオン)、曾志偉(エリック・ツァン)、毛舜筠(テレサ・モウ)、許紹雄(ホイ・シウホン)、林雪(ラム・シュ)、方平(ヘンリー・フォン)、姜大偉(デヴィッド・チャン) 
爾冬陞(イー・トンシン):監督


裕福ではないが、暖かい家庭で育てられた勉強嫌いな家富(房祖名)と、金銭的に何不自由なく名門女子校に通うが、心は寂しい若男(薜凱琪)の高校生の恋愛を描く。
家富(房祖名)は、気になる女の子がいる。それは名門校女子校に通う少女(薜凱琪)。毎日下校時に彼女の姿を眺めに学校まで出かけていったが、声をかける勇気はない。ある日少女は、勇気があるなら学校のダンスパーティーに潜入して来てと言う。これがきっかけで2人はつきあうことになる。ところが2人の恋愛は思ってもみない妊娠という結果を招く。2人では処理しきれなくなった家富は、母(毛舜筠])に相談する。家富の両親は、若男の両親(黄秋生・余安安)を尋ね相談しようとするが、若男の父は烈火のごとく怒り聞く耳を持たない。
両親の目を盗んで家を出た2人は、西貢の廃屋で生活を始める。肉体労働で日銭を稼ぐ家富、若男のお腹は大きくなっていった。楽しいはずの2人の生活は、金銭的にも精神的にも限界が近づいていた・・・。


幼い2人は身分違いとして描かれる。それは弁護士(黄秋生)の娘と、小巴の運転手(曾志偉)の息子、なんだかふたむかしも前のような話だ。家出生活もけしてリアルではなく物語にすぎない。若男の父(黄秋生)が、娘の妊娠を知って激怒、2人が失踪すると家富の家へ乗り込んでいって、曾志偉扮する家富の父に罵声を浴びせる。これもステレオタイプな展開だ。決まり切った誰もが想像しうる物語の展開。それでもこの映画が心に響くのは、黄秋生や曾志偉が台詞の中で吐露する子供を思う心が真理をついているからだろう。


主役2人は、映画2作目の房祖名(ジェシー・チェン)と初主演の歌手の薜凱琪(フィオナ・シッ)。房祖名はご存じ成龍ジャッキー・チェン)の息子で、前作《千機変II花都大戦》につづいてこれが映画2本目。ここでもやはり弱キャラ、なごみ系。つねに薜凱琪に引っ張られる形だが、なんとか自らの責任は果たそうと努力するあぶなっかしい若者をうまく表現できているのは、そのなごみ系の顔と弱キャラのおかげ。けっしてハンサムな顔ではないし、演技というよりキャラだけだと思うのだが、この映画でもうまくはまっている。
薜凱琪は、デビューは1昨年だったような記憶。若手の中では歌は上手い方、顔は美人とはいえない丸顔。現在TVBのドラマ(若手総出の警察学校モノ)にも出ているが、まだまだ演技は上手くない。この映画では、ほどんど素だろう。爾冬陞は若手の使い方が上手く、彼女の素をうまく使っている。
この映画は人選が絶妙だ。経験の少ない若手2人に対して、その両親に黄秋生+余安安、曾志偉+毛舜筠のベテランを配置。物語も人選も奇をてらわず、直球を投げた。その結果、すばらしく上質なアイドル映画が出来上がった。
2005.4.29@新寶戲院


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