城寨出來者

小豪の顔が怖い《城寨出來者》高飛、錢小豪、關海山 
藍乃才(ラム・ナイチョイ):監督 1982年 邵氏 DVD


子供達が下校してくる。同級生と喧嘩をし、通行人に悪さをした弟は、警察に捕まりそうになり兄とともに「城寨」へ逃げ込み、迷路のような細い道を走る。警官も城寨の中には入ってこない。命拾いをした2人。
2人の兄弟は九龍城寨に住んでいた。父親(關海山)は城寨の中で麻雀店を営み、知らない者はいない存在。兄弟には勉強をしろとしつこく言っていた。しかし、恨みをかった父は兄弟の目の前で刺され殺された。
年月がたち、兄(高飛)はナイトクラブでマネージャーとして働いていたが、弟(錢小豪)は勉強もせず遊びほうけ、粋がってヤクザに因縁つけてみたり、彼女を妊娠させてしまったりしている。因縁をつけられたやくざは本気になって怒り、弟を執拗に追い回した。さらに妊娠させた彼女の父親は警察官。娘の相手がちゃらんぽらんな奴と知って、自分では手を出さず、弟を付け回すヤクザにそれとなく報復を促す。
しかし思わぬことに、弟とヤクザの争いの中、彼女はビルの屋上から転落してしまう。さらに弟はヤクザに拉致され、兄のナイトクラブはめちゃめちゃに。怒った兄はナイトクラブを止め、ヤクザに復讐に赴むいたところを警官に逮捕され投獄される。その間に弟はヤク浸けにされていた。出獄した兄が見た弟の姿は・・・。


DVDのパッケージからしてえぐい。錢小豪は、いきがっている若者を演じて、殴る蹴る殴られる蹴られる、ヤク浸け、そして最後にはあられもない姿まで披露しての熱演だが、救いのない終わりかただった。
この映画でもっとも魅力的なところは、通りから城寨の中への展開だ。子供が九龍城寨へ駆け込むと、そこには猥雑で、不法な世界が広がっている。路上では昼ひなかから男が襲われ金目のものを盗まれ、麻雀屋ではいかさまをした者が袋叩きにされ、狭く粗末な小屋ではストリップに男どもが歓声をあげている。さらにストリップ小屋では、借金で首の回らない男が、自分の妻とステージで本番ショーに挑もおとするが、妻に激しく拒絶され逃げられる。それでも男は妻を追いかけ殴り引きずりまわして、舞台にあげようとしている。兄弟と父が食事に行くと、犬の美味しいのがあると言って、鍋が出てくる。
DVDのパッケージによると、監督の藍乃才は実際の九龍城寨の中にカメラを持ち込み撮影したとある。九龍城寨はビルの集合体だと思っていたが、この映画ではバラック建てで、空の見える場所が出てくる。1982年頃には、後にみなが「九龍城寨」と聞いて思い浮かべるウオールシティの横にバラックの集合体があったという。


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