82家房客

《82家房客》陳百祥が細い
丁[王凧]、陳百祥、恵英紅、劉家輝、羅奔、谷峰 李沛権:監督 1982年


灣仔の合和中心の近くにある古い大きな屋敷に住む丁[王凧]とその夫・陳百祥、お屋敷を82の店子に貸している。タクシー運転手(劉家輝)や医者(谷峰)などなどが店子たち。あるデベロッパー(曹査理)はこの屋敷を買い、壊して合和中心に負けない大きなビル建設を計画。丁[王凧]と陳百祥は店子の追い出しにかかった。


映画のタイトル、ストーリーを見れば、当然、1963年の王為一監督《七十二家房客》(id:hkcl:20050406#p1)、そして1973年の楚原監督《七十二家房客》(id:hkcl:20050212#p1)と同じ、大家と店子の戦いなのが分かる。劇中、初めのトイレ争いのあと、水道の水が出なくなるのは、前記の2つをきっちり踏襲。大家に娘はおらず、妹(恵英紅)がおり、恵英紅は店子のひとり劉家輝に思いを寄せる。火事場の水を巡っての賄賂の代わりに、交通警官の賄賂が登場する。
前2作は大家の娘の望まぬ結婚の阻止に店子が一致団結する描写に映画のほとんどが費やされるが、この映画では、前半はもっぱら店子たちそれぞれの描写に費やされる。後半に入り、弱味に付け込んだ大家夫婦に無理矢理サインさせられた証書を取り戻すために、住民が団結する。最後は警官が屋敷に乗り込んで破壊するという、かなりなどたばたで、前2作のような趣きはない。


ただ興味深いのは、このお屋敷が、実際に合和中心のすぐ近くに位置する建物で、たぶん往年はかなり豪華で美しい典型的な洋風建築だっただろうということだ(俯瞰で何回も写る)。なにか由緒ある建築物かもしれないが、いまのところ分からず。たぶん合和中心は、このころ出来て間も無かったのではないかと思う。


■□05年に見た映画の一覧□■