黎耀祥

黎耀祥(ライ・イウチョン)は、出演作の多い俳優だ。夜、無線電視をつければ、彼の姿を見ることができる。いま放送中の《飛短長父子兵》だけでなく、少し前に放送の終わった《鐵血保鏢》にも出ていた。祥仔が演じた役の評判はすこぶる好く、ネットでもたくさんの人が彼は一流の俳優だとほめた。祥仔に大きな志しがないわけではない。彼はかつて主役を演じたこともある。98年の主演映画《殺手再培訓》は、上映期間はわずか7日、興行成績は10数万香港ドル。同じ年、祥仔は鄭伊健(イーキン・チェン)と郭富城(アーロン・クォック)主演の《風雲−雄覇天下》に客演した。興行成績はなんと4000万香港ドル。祥仔は運命を信じている。だからどんな映画かどんな役かは、これ以降、比較しないことにした。
・僕だって
祥仔は言う「二枚目は考えた事がなかった。自然にそうきまっていた。僕は運命を信じているから。ずっとやってきて、自分が失望しないように、多くの期待を抱かないようにという心持ちになっている。芸能界に入ったときには、すでに主役は出来ない、その他大勢だって決っていた。その辺のオヤジと同じように、10数年仕事をして、団地に住んで、粗末な身なりで、底辺を生きる。芸能界に入った時には、そんな一生だと思っていた」。
祥仔の外見はごく普通、しかし演技は素晴らしい。劉青雲ラウ・チンワン)や黄秋生(アンソニー・ウォン)だってハンサムとはいえないが、人気が出た。祥仔は同じような人でも違う運命だと好く分かっている。「彼らはかっこいい。男っぽいし、個性がある。僕は生まれながら個性がない。顔ははっきりしないし、どちっちつかず。小市民で、人混みでは忘れられてしまうようなヤツ。生まれながら外見には俳優としての条件が整っていない。淘汰される運命なんだ。運がよかったんだ。ホントは無い運をつくりあげたのかもしれない。だから喜んで傍役を演じているんだ」。
楽しくその他大勢を演じている彼は、忙しい人にたいしてはまた別の思いがあるようだ。「黄宗澤(ボスコ・ウォン)は撮影が大変で死にそうになっている。こんな方法で撮影していたら、僕はTVBで死んでると思う。機会があればやってみるのはいいけど、そんなに夢中にならないよ。香港は金持ちも貧乏も嫌い。ただ自分が人より多くもらっていて、人より少なく無いという感覚だけ。だからいま観客が誉めてくれ、サポートしてくれるのはとても嬉しい。笑い話しじゃないよ。僕だって、以前は400sqfのところに住んでいて、700sqfのことろに住みたいと思っていた。手にしたよ。いまは1000sqf以上のところに住んでいるしね」。
中年になり、祥仔は車も家も買った。仕事時間が長いといいこともある。リラックスもできる。彼は笑って「僕はいま演劇が出来て行く過程を見ることができる。ショーなんかの番組じゃないよ。毎回新しい何かが見つけられる。TVBで13年、小学校から中学、そして大学までという感じで、空間は限り無かった。これらは基礎、この13年がなかったら何もない。本当に通行人から始めた。正真正銘のその他大勢だった。だけどたくさんの技術的な問題を知った。後に映画を撮った。ゴミみたいにひどい映画だった。ひどい監督でも映画を撮れた。そしてTVBに戻ったあとには、すでにいろいろな知識を身に付けていた。by 2006.5.28「蘋果日報」(意訳あり抜粋)

黎耀祥、テレビが多いが、映画にも出ている。《風雲》の泥菩薩とかいう名の哀しい役、《爆裂形警》では情報屋役がすぐに思い浮かぶ。TVBのページはココ