黒白道(インファナル・ディパーテッド/黒白道)

《黒白道》張家輝(ニック・チョン)、呉鎮宇(ン・ジャンユー)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、曾國祥(デレク・ツァン)、李彩樺(レイン・リー) 
邱禮濤(ハーマン・ヤウ):監督


Dark哥(呉鎮宇)が信頼する手下・海仔(張家輝)は、実は8年にも及ぶ臥底(アンダーカバー)。ある日、Dark哥を捉え、海仔はようやく復職することになった。しかし警官の制服を着てもしっくりこないし、署内では疎外感を感じる。手入れに行けば、ヤクザ仲間から「裏切りもの」と罵られ、かつての情婦(李彩樺)に結婚を迫ってみるが、承諾を得られるわけもない。海仔は、自らのアイデンティティが見つけられず、警察とヤクザ仲間を行き来するうちに、いらぬ疑惑をかけられてしまうのだった・・・。


張家輝演じる海仔は、入った時から警官には見えない、軍服を着ても軍人には見えないから臥底だと決られた人物。3年、また3年、またまた3年ならぬ8年の臥底生活で、自分の居所がわからなくなる。さらに警官のヤクザに対する容赦ない取り調べにも疑問を感じてしまう。
張家輝は、細く背もあまり高くなく、どちらかといえば貧相な部類。不安で、落ち着かない様子が非常にぴったり。特に不安そうな目が、役そのもの。さらに曾國祥がいい。台詞まわしにも気負いもなく、いつも演技がとても自然だ。李彩樺というは、どんな役を演じても、どうもぴったりしない。
臥底ものといえば、《無間道》と比べられるのは必至だが、これは、まったくアプローチの仕方が違う。《無間道》が臥底をあくまでもヒーローとして描いてゆくなら、《黒白道》はそのヒーローが、暗闇から光り溢れる世界に戻ったあとを描きシリアスだ。それが劉偉強(アンドリュー・ラウ)と邱禮濤の大きな好みの違いだと思う。出演者も、物語りにも派手さはないし、現在と過去が行ったり来たりして少し分かりにくいところもあるが、割りと好きな映画の部類。
2006.8.31@旺角百老匯


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