師奶唔易做(MY MOTHER IS A BELLY DANCER)

手前が監督の李公樂田蕊妮(クリスタル・ティン)、雪梨シドニー)、覃恩美、董敏莉(モニー・トン)、湯鎮業(ケン・トン)、林家棟(ラム・ガートン)、露比(ロビー)、林子聰(ラム・ジーチョン)、張頴康 
李公樂(レイ・コンロッ):監督


夫と子供に何かと粗末に扱われ、自分がしたいことができるのはトイレの中だけの妻(雪梨)、夫に愛人がいることが分り、夫を追い出してしまった団地内の果物屋の妻(覃恩美)、実の弟に、赤ん坊がうるさい出て行けと嫌味をいわれている未婚の母(董敏莉)、失業中の夫(林家棟)と4人の子供を抱え、団地のゴミ収拾で生活を支え、不満も口にしない妻(田蕊妮)の4人の団地の師[女乃](主婦)が主人公。
ある日、覃恩美と雪梨、董敏莉は団地内の中国舞踊教室に申し込んだが、教師がどこかに行ってしまって、代わりに来た教師にベリーダンスを習うことになった。そんなとき、団地のゴミ収拾でささやかに生計をたてていた田蕊妮は、突然解雇されてしまう。失業したと夫に言い出せない田蕊妮は、定時に家を出て、ぼんやり座り込んでこまりはてていた。そんな彼女を覃恩美と雪梨がダンスに誘った。身体を動かすことで、心に溜めいたものが一気に吹き出し泣き崩れる田蕊妮・・・。


家にいて、食事だ、洗濯だ、夫や子供、姑の世話におわれ、自分を見失っていた主婦たち、未婚の母の現実に眼を向けられず逃げていた若い母が、ベリーダンスを通して、自らを解放し、自信を取り戻していく姿を描く、ハートウォーミング映画。
主婦を演じる4人がみなとてもいい。特に3人は化粧もほとんど落としてこの役を演じたという。さらに夫たちの情けなさと傲慢さが、映画にリアリティを与えて、4人の主婦の感情を丁寧に描いて映画は進んでいく。
浮気夫を演じるのは、《細路祥(リトル・チュン)》にも出ているが、北角の街市の上の有名な店「東方小館」の経営者(社長)。もう1人は、劉徳華アンディ・ラウ)らと五虎将として売り出していた湯鎮業(ケン・トン)で、今は大陸で事業をしているらしいのだが、最近になりダイエット関係の広告で、見事にダイエットして話題になっていた。ちなみに五虎将の5人は、劉徳華、黄日華、湯鎮業、苗喬偉、梁朝偉
上映後のティーチインで監督は「警察に黒社会黒社会と警察、警察と黒社会、そんな映画ばかりで、何か違う題材で撮りたかった」と話したが、そのとおり、こんな団地の主婦が主人公の心が暖かくなる映画は、いままで香港映画にはなかっただけにとても新鮮だった。
音楽は黄貫中(ポール・ウォン)。監督は黄精甫(ウォン・ジンポー)との共同監督《福伯》(インディペンデント映画)で知られている。本作は劉徳華の会社が出資の「亞洲新星導」のひとつで、制作時には《PG家長指引》と言われていたもの。タイトルの《師[女乃]唔易做》は、訳すなら「おばさんも大変なのよ」とか「主婦もつらいのよ」といったところか。


田蕊妮の実の夫・杜汶澤(チャップマン・トー)も鑑賞していた。上映後、エスカレーターでわたしのすぐ後ろに杜汶澤がいて、監督に握手をもとめて、「とてもよかった、おしむらくは高清(ハイディフィニション)だってことだ」と話していた。
2006.9.23@Palace ifc「香港亞洲電影節」


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