放・逐(エグザイル/絆)

《放・逐》呉鎮宇(ン・ジャンユー)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、張耀揚(ロイ・チョン)、林雪(ラム・シュ)、張家輝(ニック・チョン)、何超儀(ジョシー・ホー)、許紹雄(ホイ・シウホン)、張兆輝(チョン・シウファイ)、任賢齊リッチー・レン)、任達華(サイモン・ヤム)、陳雅倫(エレン・チャン) 
杜琪峰(ジョニー・トー):監督


赤ん坊に乳をやる母(何超儀)。ドアを叩く音に扉をあけると、男(呉鎮宇)がいう「阿和はいるか?」「何番地を探しているの? ここにはそういう人はいないの」「オレは阿泰だ。待っているから」。また誰かがドアを叩く。出るとまたも男(黄秋生)がいう「阿和はいるか?」「そんな人はいないわ」。
といって始まる《放・逐》は、5人の男たちの友情の物語りだった。いつまでも子供のようにじゃれあう男どもが可愛くて、いじらしい(表現が可笑しいかもしれないが、いじらいいのだ)、そして男は義理よりも何よりも友情を取る。杜琪峰映画は出来がいいのが当たり前、今どき杜琪峰を誉めるのは、恥ずかしいったらない愚の骨頂。でも一言「好きだ」と言わずにはいられない映画だった。スローを多様、銃撃と計算され尽くした動きと、隙のまったくない完璧な画面設計にうっとりする。けれん味ありすぎではあるが、人物設定も十分けれん味ありなので、ここまでくれば芸術品。
ポスターを見て思ったとおり西部劇。そして夜の色は、香港のそれが漆黒ならば、マカオのそれは蝋燭の光りに写し出されるブラウン。まるでジョルジュ・ド・ラトゥールの光りと闇。マカオからイメージされる西欧的な雰囲気が溶け込み、いままでの杜琪峰映画にはなかった不思議な雰囲気が生まれていた。
2006.10.8「香港亞洲電影節」百老匯電影中心&ifc


2時半のbcが危ないと思い保険をかけておいたら、2回とも見られた。2時半のbc、うるさいおばさんたちに、うっとり気分を阻害され、さすが上映中の電話やひそひそ話しに寛容になっている私も、あやうく切れそうになった。となりの男性が何度も後ろを振り返り「シー」と言ってるのもまったく効果なし。上映後、この映画館にまったく相応しくない連中は、どうやらこの映画に出演の某歌手兼俳優のファンらしいと分る。その後7時40分のifcでもこの一団に遭遇、倒れそうになったが、さすがifcでは静かだった。
《放・逐》一般公開は、10月19日(木)から。公式サイトは→ココ


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