三峡好人(長江哀歌)(ちょうこうエレジー)

《三峡好人》
趙濤、韓三明 
賈樟柯ジャ・ジャンクー):監督


16年前に出奔した妻と子供に会いに山西から奉節にやってきた韓三明、2年音信不通の夫に会いに山西から奉節にやってきた沈紅。いずれ沈みゆく三峡を舞台に2組の男女の物語りが語られてゆく。


賈樟柯は退屈。その退屈さを楽しむ映画だといつも思って見ている。中国内陸の、どこまでもどこまでも陸地が続いていて中国大陸から出られない閉塞感を味わう映画だとも思っている。
ところが今回は少し違う。たぶん目の前に水があるから。水は留まってはいない。いつも流れてゆく。人生が留まることなく進んでいくように流れて行く。どこに行くのかは分らないが。水が三峡を通って流れて行くように、人も三峡にやってきて、また何処かに流れてゆく。
とても面白かった。今回は退屈ではなかった。これがフィルムで撮られていたら、もっと好かっただろう。川の上に広がる湿った空気、晴れない塵の混じった空、水を含んだコンクリートのくすんだ色、その空気感がもっともっと感じられただろうに。
《東》にも韓三明は少しだけ登場するのと、すぐに気が付いたのでは1か所だけ同じシーンが出てくるが、《東》と《三峡好人》はまったく異なる作品だった。2006.11.20@百老匯電影中心


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