父子

《父子》
郭富城(アーロン・クォック)、呉景滔(ン・キントー)、楊采妮(チャーリー・ヤン)、林煕蕾(ケリー・リン)、許茹芸(ヴァレン・シュウ)、徐天佑(チョイ・ティンヤウ)、秦海璐(チン・ハイルー) 
譚家明(パトリック・タム):監督


賭け事に夢中で、家族を顧みない夫・勝(郭富城)に愛想をつかした妻・蓮(楊采妮)は息子・Boy(呉景滔)を残して家を出た。残された夫はやる気をなくす。息子は学校へ行くバス代も払えなくなり、裕福な友人の家から腕時計を盗んでしまった。
親子は家を出て、安宿に落ち着いた。隣室の娼婦(林煕蕾)とねんごろになった勝は、彼女の上がりで暮らすようになる。しかし取り分でもめ、彼女とはぷっつり。勝に働く気はなく、息子に盗みをさせようとするのだった・・・。


郭富城がダメ親父を演じるというので、期待してみた。かなりよく演じていたが、まだ少し肩に力が入っている感じ。もっとだれだれになってくれてもよい。少々疲れた妻が発する色っぽさが、楊采妮からしっかり感じられた事に驚いた。さらに、林煕蕾はセクシーも売りの女優なので驚かないが、楊采妮の露出(そんなに露出しているわけでないが)にも少し驚いた。香港映画のラブシーンにはかねてから不満だった。物語上の必然でラブシーンが登場する場合でも、かなりおざなりだ。昔の映画の方が大胆なくらい。この映画では、香港映画上の尺度ではあるが、かなり大胆な演出で、そんな不満を少し解消してくれた。郭富城にとっても、元お嬢様女優の楊采妮にとってもかなり思いきった出演だったのではないか。これを捕らえるカメラの工夫もあったように思う。
呉景滔は、いかにも子役子役したところがなく好印象。成長した息子を演じた角刈りの徐天佑が、実は郭富城そっくりでびっくり(笑)。
マレーシアの風景、寂れた街、光、影をカメラがしっかりと捉えているのと、編集のリズム、これらが合わさって、見終わったあとも、さまざまな光景が思い浮かぶ。物語も映画のつくりも骨太な映画だった。ただ、やはり120分という時間のせいか、何かちょっと足りない感じがする。
それにしても、以前の作品(見ているのは《名剣》《烈火青春》《最後勝利》《殺手蝴蝶夢》《雪児》ぐらい)と全然違う。
初日、9時すぎの回、90%の入りだが、見終わった観客の反応はというと、娯楽映画にしか反応しない人は「爛片」(酷い映画)といい、これを「芸術映画」という人もあり。初日の観客は、話題性と評判で見にきているわけだが、いったい今後どれくらい人が入るのか?by 2006.11.30@旺角百老匯
電影中心ではディレクターズカット版を上映しているので、あとで、こちらも鑑賞せねば(3日に鑑賞した→id:hkcl:20061203)。東京国際映画祭で上映された150分よりさらに長い159分。さらに明日は、電影資料館と電影中心の両方で、監督のティーチインあり。どちらに行くべきか悩む(両方行けという話しもあるが・・・)。

2日の座談会で監督本人に聞いたところ、東京国際映画祭バージョンと電影中心で上映中のバージョンはまったく同じ。東京国際映画祭のサイトの150分という表示が間違いだそうだ。


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