老港正傳

《老港正傳》黄秋生(アンソニー・ウォン)、毛舜筠(テレサ・モウ)、莫文蔚(カレン・モク)、鄭中基(ロナルド・チェン)、岑建勳(ジョン・シャム)、鮑起静(パウ・ヘイチェン)、連凱(アンドリュー・リン) 
趙良駿(サムソン・チウ):監督


左向港(黄秋生)は愛国主義者で映画館の映写技師。妻(毛舜筠)と一人息子とビルの屋上に建てた住宅に住んでいる。隣に住む霞姨(鮑起静)の夫(岑健勳)とは意見が会わない。港の願いは北京の天安門広場を見ることだが、人のよい港は同業者の食事の面倒をみたり、亡くなった知人の息子に学資として金を渡してしまうなど、いつでも自分は後回し。妻は貧しいながら愚痴も言わず家計をやりくりしているが、息子・忠(鄭中基)は中3までしか出してもらえず、就職もままならない。しかしそんなことを港は知る由もない。
忠は密かに隣家の娘(莫文蔚)を思っているが、彼女は引っ越してしまい海外へ留学。いつも思いは伝えられない。屋上からは1人1人と隣人が引っ越してゆき、残るは港一家だけ。忠は職を求めて大陸へ行ったものの、うまく行っているのやら・・・。
こんな家族の40年を香港の変化に絡ませて描いていゆく。


もう少し丁寧に練ってくれるといいのだが、早撮り(40日ならとてつもない早撮りというわけでもないが・笑)が分かるというのか、脚本のツメが甘いのかも。ショットショットでの出演者の演技がいいだけにとても残念に思える。笑わせて、しんみりさせる所も用意されているのだが、何か足りないと感じるのは、私が香港人ではないからなのか? それとも110分と比較的長めに出来ているが、やはり40年を凝縮するのは無理だったのか。(そのあたり、もう1度見ないといけないかも)映写技師が主人公なのだから、もう少し映画で時代を表現しても良かったのではないか(そういう場面ももちろんあるが。あ、許可が取れないのかもしれないが・・・)。
同じ趙良駿監督の《金鶏》は面白かったが、やはり何か少し薄っぺらなところがあった。しかし呉君如(サンドラ・ン)は、その薄っぺらさも引き受けて、映画はそれなりのバランスで出来上がっていた。《老港正傳》は、黄秋生や毛舜[竹均]の演技の良さが、逆に映画の薄っぺらさを目立たせてしまっているのかもしれない。とにかく残念。


劇中、啓徳空港はないので、九龍城の上を飛ぶ飛行機は合成、屋上の住宅も再現して撮影したようだ(この屋上はたぶん《門徒》でも使っている場所だと思うのだが)。
2007.6.16@新寶戲院


旺角百老匯が、ハウス5や4で上映というだけで、すでに映画の評価が有る程度分かってしまうという悲しい状況もあるのだが・・・。
《導火線》のアクションシーンばかりの予告がかかった。


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