七月好風

《七月好風》の監督・譚國明。董敏莉(モニー・トン)、森美(サミー)、ディーン藤岡(藤岡竜雄) 
譚國明(スタンリー・タム):監督


ある日、母が亡くなった。葬儀を済ませた蘭心(董敏莉)は、母と叔母が住んでいた土瓜灣の実家に戻ることにした。蘭心は10年前家を出て、カナダへ行きバンクーバートロントと移り住んで(順番が逆かも)、そして結婚式の招待状を出したにも関わらず、突然、香港へ戻ってきていたが、実家とは離れてくらしていた。実家に戻ってみると、上の階に住む大頭(森美)は、ずっと変わらずそこにいた。蘭心が家を離れたあと、大頭はよく実家にやってきては、母や叔母と食事をしたり、切れた電球を取り替えたりし、上海出身の母や叔母と上海語で会話するほど親しくになっていた。しかしそんな母のことを蘭心は、何ひとつ理解していなかった。蘭心は叔母を連れて上海に行くことにした・・・・。


先に見た友人から「いまひとつ」と感想を聞いていたが、意外に良かった。母親を亡くしている身としては、多少感じ入るところがあったのも、少し評価がよくなる原因かもしれない。譚國明、長編はこれが初。昨年、同じ香港亞洲電影節で「小琴」という短編を見ている(id:hkcl:20061002)が、面白みはないがそつなく撮るという感じだったが、今回はストーリー勝ちで、圧倒的に前作より出来がいい。やはり原作(陳慧の短編小説)がよいのだろう。微妙な心理を写し取ろうというところは前作と同じだが、主役が少年少女から29歳の女性になったことで、表現がより深くなったように思える。主役の董敏莉も思いのほか役にあっていた。ただしやはり資金の関係でフィルム撮りではないので、画面がいまいち。それを補うためか、全体に画面を白っぽくしている。ただ前作よりはいい機材のよう。
2007.9.29@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」 


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