숨(呼吸)(ブレス)

《呼吸(Breath)》張震チャン・チェン)、Zia(パク・ジア)、カン・イニョン、ハ・ジョンウ 
金基徳(キム・ギドク):監督


これまで見た韓国映画はあまり多くないが、その中でも、数少ない複数の作品を見ている監督の1人がキム・ギドク。そしてかなり好きだ。どこが好きと言われるとこまるのだが、とにかく見ながらも見終わってからも、いろいろなことをとりとめなく考えさせられるところかもしれない。その考えは答えがあるような種類のものではないが、考えずにはいられなくなる。東京国際映画祭で上映されるようなので、中身にあまり触れるのは止めておこうと思う。何故? どうして? 彼らの関係はどうなっているのか? と見ながら迷い考えていく過程が、キム・ギドクの映画ではとても大切だし面白いと思うからだ。


今回は、内向的な性格の妻(Zia)、不倫しているらしいその夫(ハ・ジョンウ)、死刑囚・張震張震、そのままの名前になっている)、死刑囚を愛する同房の男(カン・イニョン)などが登場するが、彼らの関係は本当はどうなっているのだろう、かなり考えながら見ることになる。台詞も少なく、状況だけが説明なく進んで行くため、考えながら見るうちに彼らの孤独、愛、執着、嫉妬などを凝視することになり、だんだんと彼らの関係も見えてくる。


死刑囚を演じる張震は話しが出来ない役で(韓国映画で台詞はどうするのかと思っていたのだが、話す必要がない役だったわけだ)、表情と態度で何もかも表現しなければならない。少しオーバーアクションのところもあるが、張震も眼力がすごかった。主婦を演じるZiaがまたすごい。この人、眼に狂気があるし、見方によって顔が変わってしまう。そんな2人の狂気の狭間で夫役のハ・ジョンウは普通の人なのだが、少し間のぬけたように見えてしまうほどだ。
映画の最後は突然に投げ出されたように終わってしまう。この夫婦は修復できたのだろうか。どうとも取れる終わり方だったが、修復できた、もしくは夫婦としては修復できなくても、人間としてお互いを理解し受け止めたと思いたい。
2007.10.2@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」


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