夏天的尾巴

ギターを弾き歌うEnno。張睿家(ブライアン・チャン)、ディーン藤岡(藤岡竜雄)、Enno(鄭宜農)、林涵(ハンナ・リン) 
鄭文堂(チェン・ウェンタン):監督


父はどこか別の土地で働いていて、祖母と母と猫の夏天の3人+1匹で暮らす阿月(Enno)は心臓が悪く、在宅学習の生徒だが、音楽好きでギターを弾き歌うのが得意。デモテープをどこかに送っているが、いつも返ってきてしまう。阿月の友人で優等生の林[雨/文]莉(林涵)は、同じく優等生の陳懷鈞が好きだが言い出せない。ところがその陳懷鈞(張睿家)は教師を好きになってしまい、教師にまとわりつくが拒絶されてしまう。サッカー好きの日本人・不破朗(ディーン藤岡)は、いつも1人でボールを蹴っている。サッカーばかりに一生懸命で成績はいまひとつ。そんな4人の同級生の夏の思い出。


台南の田舎が舞台で、水田、高速道路、時々走る列車など、のどかな風景が画面に広がる。そこを出演者たちは自転車に乗って駆け抜けて行く。ここには、都会台北とは違う空気が流れていて、若者たちの心もまだ荒むことなく純粋で温かい。さまざまな事件も深刻な事態に陥ることなく話しは進んでいく。そして少年や少女たちは、少しづつ少しづつ大人になっていく。その微妙な時間を切り取って見せている。主演の4人は、たぶんみな実年齢より若い役を演じていると思うが、思いのほかよかった。風景と同じように少々退屈を感じる場面もあったが、(私とは相性がいまいちな台湾映画にしては)それなりに面白かった。鄭文堂の前作《深海(深海 Blue Cha-Cha)》は、私的にはかなりつらい映画だったが(id:hkcl:20060821)、今回は爽やかでほっとした。


映画上映前に阿月を演じたEnnoのミニコンサートがkubrickで開かれた。なおEnnoは鄭文堂の娘で、この映画の脚本にも関わっている。この映画、11月1日から一般公開。台湾映画にしては、映画祭後妙に早く公開になると思ったら、驕陽電影が出資していた。
2007.10.6@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」 


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