専題講座・香港電影「張愛玲與電影」

講者:黄愛玲(香港電影資料館研究主任) 於:香港中央図書館


専題講座・香港電影は3回シリーズ(前回は李安の座談会と同じ時間だったため出席できず)。7割ぐらいの理解だと思うが、覚えていることを少し。転載禁止

  • 香港、台湾、中国大陸の多くの監督たちが是非撮りたいと思っているのが、張愛玲(アイリーン・チャン)の作品だ。
  • 許鞍華(アン・ホイ)の《傾城之恋(傾城の恋)》は、作品としては成功しているとはいえないが、この映画がさまざまな方面に影響を与え、台湾の監督や中国大陸の第5世代の監督たちが、張愛玲を撮りたいと思うようになった。舒琪(シュウ・ケイ)は「怨女」を撮りたいと思っていたし、楊徳昌エドワード・ヤン)は「色・戒」を撮りたいと考えていた。楊徳昌版「色・戒」のキャストは非常に興味深く、林青霞(ブリジット・リン)と、易先生に、後の王家衛(ウォン・カーワイ)《花様年華》で張曼玉(マギー・チョン)が勤める会社の社長を演じる雷震(ロイ・ジャン)を考えていた。
  • 張愛玲の小説には、彼女が子供の時の記憶が色濃く表れていると思われる。例えば《海上花(フラワーズ・オブ・シャンハイ)》の食事のシーン、(タイトル聞き取れず)の親子がアヘンを吸引する場面など。
  • 張愛玲の小説に登場する香港は、特別な雰囲気を持っている。それは香港人が見る香港ではなく、一時期香港に逗留した香港外の人が見た香港の印象である。それを映画で表現するのはとても難しい。
  • 許鞍華の《傾城之恋》が成功しているとはいえない理由は、一つに言語の問題。《傾城之恋》は広東語で撮られているが、やはり北京語であるべきだ。周潤發(チョウ・ユンファ)は好きな俳優だし、繆騫人(コラ・ミャオ)も上手い女優だが、周潤發の范柳原も繆騫人の白流蘇も原作のイメージとは明らかに違う点だ。
  • 張愛玲の小説を映画化したもので、成功したものはない。ただし《色・戒》は、これまでの中では最も成功していると思う。張愛玲の「色・戒」から李安の《色・戒(ラスト、コーション)》を作り出した。
  • 張愛玲は、自らも映画の脚本を書いている。特にアメリカに行ってから電懋に書いた脚本は、自らの小説とはまったく違って、すべて軽いコメディになっている。それはハリウッド映画を見るのが好きだったことに関係しているだろう。