兄弟

《兄弟》苗喬偉(ミウ・キウワイ)、陳奕迅(イーソン・チャン)、劉徳華アンディ・ラウ)、黄日華(フェリックス・ウォン)、湯鎮業(ケン・トン)、黄奕(ホアン・イー/クリスタル・ホアン)、王志文(ワン・チーウエン)、金燕玲(エイレン・ジン)、方平(フォン・ペン)、連晉(リン・チョン)、林雪(ラム・シュ)、林家棟(ラム・ガートン)、張兆輝(チョン・シウファイ)、于榮光(ユー・ロングァン) 
趙祟基(ディレク・チウ):監督


興隆企業は、黒幇の譚家の父・天(王志文)が築いた組織。天には堯と舜という2人の子供がいるが、どちらに商売をゆだねようか逡巡していた。天が廟に伺いをたてると、「兄弟が一緒にいては、お互いを傷つける」という宣托がもたらされた。天は、兄の堯を手元に置き、弟の舜をアメリカにやることにした。
20年後、堯(苗喬偉)はかつて父親の手下で不始末で袋打たきに会い亡くなった鬼(林雪)の子供・阿鬼(黄日華)を腹心の部下にして組織を守り利益を上げているが、虎視眈々とその位置を手に入ようとする輩が、天を亡き者にしようとし、堯を麻薬所持で陥れようとした。兄はアメリカにいる弟(陳奕迅)を急遽呼び戻した。弟はこれまで黒幇とはまったく関係のないところで生きて来たが、香港へ戻ると譚家の一族であることをことごとく思い知らされることになった・・・。


話しの基本は、黒幇の内部抗争と、黒幇対警察の戦いで、特に目新しい視点はないように思う。ただ映画は常に、兄はいったい善人なのか悪人なのかという問いかけを観客にし、「兄弟が一緒にいては、お互いを傷つける」という語句を常に思い出させて、話しを引っぱっていく。兄は弟を陥れ、亡き者にしようとしているのではないか、もしくは弟に家業を継がせるために、弟を抜き差しならないところに追いつめようと仕掛けをしているのではないかと考えさせる。またいったい誰が忠実でいったい誰が裏切るのかという推理もさせようとする。映画導入部分は2つの状況が同時に進行して、かなり先を期待させるのだが、途中のスリルや仕掛けが不足気味で、緊張が持続していかない。話しが冗漫になり、観客を騙しきれていないのが残念。さらに黄奕と于榮光のエピソードを削除して話しをスリムにしてもいいし、警察側は劉徳華か林家棟のどちらか1人で十分役割が果たせるのではないか。トレイラーがかなり出来過ぎの感あり。かつて苗喬偉が活躍していた時を知らないのだが、最近のTVBドラマでは、善良そうに見えて、実は腹黒くその後ふたたび良い人になるといったキャラクターを演じているようだが、今回もそのパターンを踏襲しているのか。全体にはかなりがんばってはいるが、あと2歩ぐらい足りない感じ。趙祟基がまだ映画を撮っていると知っただけでもよかったのかも。


出演者は、TVBで五虎将として売った劉徳華、黄日華、湯鎮業、苗喬偉、梁朝偉のうち、梁朝偉を除く四虎。苗喬偉は、一時芸能界を引退し眼鏡屋として成功していたのだが、経営不振で眼鏡屋は売ってしまい、芸能界へ戻って来た。湯鎮業も大陸でドラマのプロデュースなどしていたらしいが、ダイエットの広告に出て痩せていらい、またちょこちょこと香港映画に出ている。最近、若者不足の関係か、中年俳優の出戻りが多いように感じるのだが・・・。黄奕は大陸の女優、詳しくはココに。連晉は《瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン翡翠狂騒曲)》(id:hkcl:20060803)の泥棒、「頂你個肺」と言いそうで、すました姿を見ていると、つい笑ってしまいそうになる。その他に王志文や于榮光、金燕玲と渋いところを揃えているのは面白い。張兆輝はワンシーンだけの登場。
2007.10.19@旺角百老匯 


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