- 最佳電影:《姨媽的後現代生活》
- 洒脱で生き生きとしている。許鞍華(アン・ホイ)作品の中でも傑作。これまでの作品でも登場してきた題材を新しく見せた。遠く離れた上海という土地を借りて、香港の現状と人生のむなしさを豊富な語り口で見せて感動させた。ユーモアの中に悲哀があり、余韻がしみる。細かく丁寧な文学的味わいがある。
- 最佳導演:許鞍華(アン・ホイ)《姨媽的後現代生活》
- 許鞍華の過去の作品の主題が再び登場:《客途秋恨》の母娘の怨念、《傾城之戀》の男女の戦い、《女人四十》の自身の命題などが再び見られる。しかし今回は特に深く掘り下げられている。見た目は平易に見え、その実簡単ではない。時間の流れや大地の温かさをも映画の中に収め、現在のところ彼女にとっては最も優れた作品。
- 最佳編劇:韋家輝(ワイ・ガーファイ)、歐健兒(アウ・ギンイー)《神探(マッド探偵)》
- 《我左眼見到鬼》の置き去りの過去、《大隻佬》の因果応報などの命題を擦り合わせ、韋家輝らは《神探》でさらに展開してみせ、人の心の中の悪魔が見えるという「異人」を作り上げた。精神を病んで停職になった刑事は、自分だけが持つ力で突き進むが、彼も他の人間と同じように自らの心の悪魔にとらわれている。韋家輝脚本の仏教的輪廻が、もう1つの悲劇を生んで行く。香港映画には希で新鮮な題材。
- 最佳女演員:斯琴高娃(スーチン・ガオワー)《姨媽的後現代生活》
- 姨媽の生活は変化が激しいが、斯琴高娃の表情は変化に富み、小さなな変化も把握して、その演技は大きな説得力を持つ。猫を葬るシーンでは、彼女1人が猫の死に付き合い、中(部屋の中)から外(屋外)へ、また、外(外見)から内(心の内)へ、それぞれの細かい動作はきわめて的確で、彼女の演技がすでに高い位置にまで至ったをこと示してみせた。
- 最佳男演員:梁家輝(レオン・カーファイ)《跟蹤(アイ・イン・ザ・スカイ)》
- 梁家輝はこのところ身体も表情も自由に表現し力を発揮している。押さえた表情、控えめな身体言語、力を押さえつつ一発触発。謀略、孤独、警戒、暴力までをもその中に隠し持つ。犯罪は人間的な義理と獣的殺し合いの間に位置し、抑圧された心や悲劇的運命についても、自由に自らの演技をコントロールしている。
- 推薦電影八部:
by 2008.1.20「filmcritics.org.hk」(ほとんど超訳、少ししたらまた訳の続きをする予定)