電影節「焦點影人」は曾志偉

曾志偉。曾志偉(エリック・ツァン)は、スクリーン上では喜劇俳優として人々に知られている。1981年に脚本、出演した《猫頭鷹》の中で、すでにナンセンスなスタイルを作りあげ、香港映画界のコメディ俳優たちの祖といっていい。芸能界に入って30年以上、曾志偉は《雙城故事》と《甜蜜蜜(ラブソング)》では演技を認められ、「香港電影金像奨最佳男主角」と「台湾金馬奨最佳男配角」をそれぞれ受賞している。またその後《無間道(インファナル・アフェア)》では、曾志偉の演じた黒社会のボス「韓深*1」は印象深い。昔を振り返って曾志偉は「若い時は自分が俳優だと思ったことがなかった。俳優というのは周潤發(チョウ・ユンファ)みたいにかっこいい人だと思っていた。僕みたいなタイプは俳優じゃないだろう?」と話す。


曾志偉は映画製作にも積極的に参画し、長い間監督やプロデューサー、俳優など数々の職を兼任してきた。さらに新人俳優や監督を発掘にも積極的だ。《雙城故事》の陳可辛(ピーター・チャン)や《記得香蕉成熟時》の趙良駿(サムソン・チウ)、《福伯》《江湖(ベルベット・レイン)》の黄精甫(ウォン・ジンポー)などだ。後輩を育てることの使命について曾志偉は「現在の映画界には新しい世代の映画製作者が不足している。しかし観客は永遠に若い人たちだから、僕らは青春映画を撮りたいと思っている。ベテランの映画人としては、若い監督に多くの機会を与える時期だと思っている」と話している。曾志偉の新しいプランは「九隆風」計画。同じ脚本を中国、台湾、香港の新人監督に与えて撮影するというものだ。各地域の特色、異なったスタイルの三部作映画が出来上がる。その中から台湾の《九隆風》と中国大陸の《攤開[イ尓]的地圖》は3月21日6時と9時、香港文化中心でワールドプレミアを行うことが決定している。


映画界にそびえる30年を超える全方位型映画人・曾志偉は、香港映画へ多くの貢献を果たしている。「香港国際電影節」は「焦點影人:曾志偉」のプログラムで、これまでの彼の作品から厳選した8本と「九隆風」計画から台湾と中国大陸の《九隆風》と《攤開[イ尓]的地圖》を上映し、企画、監督、脚本、製作、俳優とさまざまな身分で活躍してきた、このベテラン映画人を映画ファンに認知してもらいたいと思っている。

  • 上映作品
    • 《猫頭鷹》 姜大衛、秦沛、曾志偉 姜大衛:監督(企画、俳優)
    • 《最後勝利( Final Victory 最後勝利)》徐克、李麗珍、曾志偉 譚家明:監督(俳優)
    • 《雙城故事》譚詠麟、曾志偉、張曼玉 陳可辛:監督(プロデューサー、俳優)
    • 《小小小警察》劉徳華、莫少聰、呉君如、張學友、張曼玉、曾志偉 曾志偉:監督(プロデューサー、監督、俳優)
    • 《安樂戦場》温碧霞、曾志偉 曾志偉:監督(プロデューサー、監督、俳優)
    • 《半支煙(わすれな草)》謝霆鋒舒淇、曾志偉 葉錦鴻:監督(俳優)
    • 《知法犯法(潜入黒社会)》呉彦祖、關秀媚、曾志偉 麥子善:監督(俳優)
    • 《江湖(ベルベット・レイン)》劉徳華、張學友、余文樂陳冠希、林苑 黄精甫:監督(プロデューサー、俳優)
    • 《九隆風》林書宇:監督
    • 《攤開你的地圖》韓延:監督

by 2008.1.22「香港国際電影節」

新作は当然として、スクリーンで見ていない古い作品は是非みたいものだ。特に《雙城故事》。

*1:深のサンズイを王編に