機動部隊・警例

林雪と羅永昌監督。任達華(サイモン・ヤム)、邵美琪(マギー・シュウ)、林雪(ラム・シュ)、李國麟(リー・クォックロン)、連偉健(リン・ワイギン)、張榮祥、林仲岐 
羅永昌(ロウ・ウィンチョン):監督


尖沙咀加連威老道の路地にゴミの不法投棄を監視するつもりでしかけた監視カメラにベレーを被ったPTU3人が、拘束しすでに抵抗しない状態の何者かを執拗に殴る姿が映っていた。警察の投訴及内部調査科にビデオは持ち込まれた。しかし投訴科には殴られたと訴え出た一般人はいない。
尖沙咀加連威老道は西九龍署の担当地域。西九龍署では独自に調査を開始したが、その時刻当該地区を警邏していたと思われる阿森(任達華)やMay姐(邵美琪)らは、誰もがアリバイがあるなど現場にいた可能性を否定、さらにビデオが不鮮明であることから映っているものも特定できないと話した。投訴及内部調査科(CAPO)は、独自に調査を進めるべく、刑事の肥棠(林雪)に殴られている人物を特定するようにいってきた。
阿森チームの孖八(李國麟)は借金返済に困り、援助を求めるべく署に話すが、借り入れを認めてもらえないばかりか、情緒不安定と見なされ、配置転換を言い渡されそうになっていた。
阿森らは、自らの違反行為の証拠(つまりビデオに映っている人物)をCAPOより先に探し出し、なんとかしようと考えている。さらに事務方に回されそうになると知り、銃を携帯したまま失踪してしまう仲間の孖八をも探さなくてはならなくなった。


というわけで全編緊張。違反行為が分かれば免職がまっている。任達華、邵美[王其]の無表情が怖い怖い。阿森は何を考えているのか分からない。ひょっとして孖八が自暴自棄になって自殺でもしようものなら、罪をかぶせそうだし、May姐も知ってはいても、阿森の行為に口は出さず、自らに何ものをも及ばないように静観している。しかしだからといって同僚を助けないわけではない。その人間関係にも緊張の糸が張りつめている。


今回の出演者で注目はTVBのテレビで見かける李國麟と、《瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン翡翠狂騒曲〜)》の香港から来た泥棒役の連偉健。特に李國麟の役は、その他の出演者が無表情のぶん、すべての感情が集約されている。


杜琪峰(ジョニー・トー)監督《PTU》の続編と言われているが、続編ではない。「《PTU》と雰囲気が違うのは何故か?」とすっとんきょな質問をして「撮ってる人が違うから」とQ&Aで監督に答えさせた人もいたが、とにかく別もの。今回は全部で5本あり、うち1本がこの作品で、のこり4本はこのあと、劉國昌(ローレンス・ラウ)や呉耀權らが撮る。またこの作品は、ビデオ撮りかと思ったが、フィルムで撮っているという(上映データはベータになってるので聞き間違いだったのかもしれないが)。部分的に非常に不鮮明な個所あり、「そこは光が足りなかった」そうだ。
また警察官が不正な手段を使う題材はいいのか(警察から抗議はこないのか?)というような、大バカな質問をする人もいてびっくり。「創作に誰の許可もいらない。警察から抗議はこない。ロケ場所に警察署がかしてくれなければ、他の場所で撮ればいい。この映画の最後は警察署ではなく学校で撮影している」。出演者についても質問している人がいて「僕もTVBの出身だから、テレビの人を使っている。知り合いで手伝ってくれる人は沢山いる。杜監督にはもっとたくさん知り合いがいて、その人たちに出てもらっている」。
また林雪に《PTU》や今回の役作りについて聞いた人もあり「役づくりは大変だよ(笑)。僕は本来、こういうおっちょこちょいな人ではないので、観察しているんだ。回りに聞いて回っているし」と。さらに「映画は監督のもの。僕はプロの俳優だから、監督のいうとおりに演じているだけ」と話すと、羅監督から「意見を言ったりもするよ」。林雪は「本当に少しだけだよ」と、気心の知れた関係が見えた。
2008.10.19@百老匯電影中心(香港亞洲電影節)


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